¡Hola! DEKAEです。
スペイン語の勉強の休憩、あるいはヒアリングの練習もかねて、スペイン語圏の音楽を色々あさっています。
そこで気付いたのですが、けっこうMVが日本で撮影された楽曲もあるんですね。てなわけで今回は、TOKYOがMVの舞台となったスペイン語の曲を集めてみました。
スペイン語圏のミュージシャンたちの目に、東京および日本はどのように映っているのでしょう。
- Un Planeta Llamado Nosotros/Maldita Nerea(2020)
- Loca/Álvaro Soler(2019)
- El Japonés/Naoto, Joey Montana(2019)
- おわりに
Un Planeta Llamado Nosotros/Maldita Nerea(2020)
まずはこちら。東京を非常に美しく撮ってくれてるな~という印象のMVです。
Maldita Nereaはスペイン南東、ムルシア出身のバンドです。バレンシアからさらに南下していったところですね。
音楽のジャンルはポップロック。リズム楽器を重めにサウンドさせながらも、爽やかな曲調のものが多いです。
MVの最初は寸劇。次なる勤務先は「Tokyo」と告げられた女性と、そのパートナーとの涙の別れから始まります。
今の時代スペインと東京ってそんな遠い?と突っ込みたくなりますが、ラテン系の人たちって「そばにいる」ことを何より重んじるところがありますよね。笑
スクランブル交差点で運命的な再会を果たすラストシーンですが、実は伏線が。
彼が日本に向かう決意をしたのは、交差点の写真に書かれていたメッセージを見たときでした。
"TE IMAGINO SIEMPRE QUE CRUZO SHIBUYA"、渋谷の交差点を渡る時はいつもあなたのことを考える…。
互いのことを想いながら歩いていたからこそ、あの人ごみの中でも出会えたわけですね。
siempre queという熟語は少々曲者で、後ろに直説法がくるか接続法がくるかで意味が変わってきます。
上のように直説法が続くと「~する時はいつも」。接続法が続くと「~するならいつでも」と仮定の意味を持ちます。
ところで、曲のタイトルはMVにも出てきますが、直訳すると「私たちと呼ばれる惑星」。少々まどろっこしいですね…
歌詞は宇宙規模でスケールが大きく、分かるようで分からない詩的な表現が多いかな。ちょっとハロプロのつんく曲っぽくて好感が持てます
あ、関係ないけどMV終わりのクレジットが無駄に日本語ですね。笑
2020年の曲ということで、TOKYOオリパラを意識してのロケ地だったのかもしれません。
Loca/Álvaro Soler(2019)
以前にもこのブログで記事にしたことのある、バルセロナ出身のシンガー・ソングライターÁlvaro Soler。
Álvaro Solerに使えるスペイン語を学ぶ【歌で勉強するスペイン語】
彼の歌詞のチョイスはけっこう日常使いしやすいものが多く、スペイン語学習者には良いテキストになります。
さらに思春期を日本で過ごしたという経歴をもつアルバロさん。何となくシンパシーを感じて応援していたところ…
2019年、満を持して(?)東京で撮影した楽曲PVが発表されました。
エキストラが大勢登場しています。私呼ばれてないんですが、どういうことなんでしょうか?
…まぁそれは置いといてですね。トゥンバオ風のピアノ・哀愁のトランペット・ティンバレスと、ラテン音楽の要素が詰め込まれたミディアムナンバーです。
そんなに比喩表現もないので、ある程度スペイン語に慣れた方なら翻訳できると思います。以下は曲の中で個人的に気になった点。
MV冒頭に出てくる通り、locaとは「クレイジー」の意味。locoという形容詞が女性詞に変化したものです。
ただ、男子が「locaになる」というのは通常ありえない表現ですよね。
全体の流れの中で、サビのこの部分だけかなり不思議な作りになっています。キャッチ―さを優先したのかもしれません。
そしてサビ終わりの"pierdo la razón"。日本人が発音しにくいLとR、さらにZを一気に聞ける素晴らしいフレーズです。笑
もう一点、中間部の"con locura"という表現に注目。locuraは「狂気」を意味する女性名詞です。
locoとlocuraは混同しやすいですが、そもそも品詞が違うんですね。下記のように使い分けられます。
Él es loco. → アイツ頭おかしいよ。/Eso es una locura. → それは狂気の沙汰だわ。
メイキング映像もあります(英語で話してますが)。カルピスソーダと三ツ矢サイダーが好きだったみたいですね。カルピスウォーターを買っちゃってますけど。
お気づきかもしれませんが、この曲中に日本に関するものは一切出てきません。
となるとMVの演出は完全にちぐはぐなわけで、単にアルバロさんが東京に来たかっただけなんじゃないの…という感じです。
ま、彼にとって第二の故郷となっているのであれば嬉しいですし、こういう形で日本を紹介してくれるのもありがたいことですね。
El Japonés/Naoto, Joey Montana(2019)
NAOTOって誰だろう?と思って見てみたら、まさかのインティライミキター。
インティライミが南米ケチュアの言葉ということは聞き知ってましたが、普通にスペイン語もペラペラだったのですね。
インカ帝国とは縁もゆかりもない生粋の日本人にもかかわらず、世界を放浪中に言語も習得したようです。すご…
Joey Montanaも知りませんでしたが、この方はパナマの出身。レゲトン界では知られた人気歌手のようです。
パナマ。またディープなところから攻めてきました。
日本での音楽活動を一時休止したナオト氏は再度放浪の旅に出て、その途上でこの曲を作ったようです。
曲を聴いたジョーイさんから打診を受け、コラボレーションが実現。ナオトさんはNAOTOとしてユニバーサルミュージック・ラテン社と契約を結び、この曲で正式に世界デビューを果たしたのだそうです。
え、いつの間にそんな壮大なことに。諸事情に驚きつつ、早速曲を聴いてみましょう。
MVの導入部から「あ、これはもう…」と思っているところに、レゲトンのリズムに乗った三味線が。とんでもない破壊力です。
NAOTOが歌う部分は彼の作詞なので、わりと基本的なスペイン語で書かれています。冒頭の歌詞なんかはそのまま自己紹介に使えば盛り上がるかも。
<俺は日本生まれ 極東の国 日出ずる処から来た>
<俺は侍じゃねぇ 斬ったりしない>
<みんなと同じ服を着て 恋に落ちたら溺れるのさ>
そしてサビです。"Konnichiwa, Mamacita"、これはもう爆笑必至。
mamacitaは男が女に呼びかける言葉で、「かわいこちゃん」みたいな軽薄なニュアンスです。
とにかく、この曲の最大のポイントは「コンニチハダンス」でしょうね。
街で出会った外国人がこの振り付けで挨拶してきたときのために覚えておいたほうがいいかもしれません←
締めくくりとなるフレーズは"Tienes que probar el japonés"。ラティーナをナンパしたい男性諸氏はぜひ使ってみてください。どうなっても知りません
主なロケ地は秋葉原のレトロなゲーセンに能楽堂ですね。ゴテゴテのネオンがいかにもラテン・アーバン曲っぽい。
最近この手の演出をよく見かけますね~、日本の伝統文化にクラブカルチャーをミックスした感じ。どこか共通の演出チームが一枚噛んでいるのかな?
ある意味、日本を知らない外国人に最もウケるのがこの曲と映像かもしれません。
ずいぶん古典的でステレオタイプな表現であることは否めませんけど、「レゲトンだから仕方ない」と言ってしまえばそれまでか(偏見返し)。
ただ、富士山と高層ビルを背景に三味線奏者がずらりと並ぶシーンは斬新だと思いました。
おわりに
以上、東京でMV撮影されたスペイン語の楽曲のご紹介でした。まぁ曲そのものが直接日本に言及しているのはEl Japonésだけですけどw
Clean BanditのRather Beほどの衝撃はないかもしれませんが(笑)これらのMVがきっかけで、まだ見ぬアミーゴたちが日本に興味を持ってくれたら嬉しいですね。
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おしまい