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【メキシコ音楽】トラップ・コリードがものすんごい【歌で勉強するスペイン語】

¡Hola! DEKAEです。

YouTubeでスペイン語の楽曲を漁っていたところ、とんでもない音楽に出くわしてしまいました。

それがメキシコの「トラップ・コリード」。

スペイン語学習者ならきっと気になる存在のメキシコで今、どのような若者文化が花開いているのか。少し覗いてみましょう。

トラップ・コリード Corrido Tumbado

まず、コリードというのはメキシコ(特に北部)の伝統的な民謡です。

ギターやアコーディオンの伴奏よる軽やかな舞曲で、現在でも結婚式などで広く踊られているのだそう。

大してトラップはヒップホップから派生してきたジャンル。2000年代あたりから流行し始め、今では世界中の若きラッパーが夢中になっています。

あろうことかメキシコでは、伝統民謡たるコリードにトラップをぶち込んでしまう若者が続出。まさに「今時の若者は~」と言われかねない所業です。

そんな新しいジャンルは、彼らによってトラップ・コリード(Corrido Tumbado)と名付けられました。

この音楽世界にまんまとハマってしまったDEKAE。最近はことあるごとに聴きながら歌詞を読み、ふむ…とその表現について考えています。

まぁトラップといえばヒップホップの中でも歌詞の内容はアレな部類なので、日常的に使えるスペイン語を学べるかというと…微妙。

実際、メキシコでもヒップホップ嫌いの層からは「Corrido Tumbado = BASURA(ゴミ)」とまで罵られるほど散々な評価です。

ですが、スペイン語圏の中でもとりわけ特有のスラングが多いメキシコ。

軽い冗談を交わすときや、カチンときたときの捨て台詞としていくつか持っておくと現地で一目置かれるかもしれません(?)

Natanael Cano

Natanael Canoは2001年、北部ソノラ州の「太陽の街」エルモシージョで生まれました。

私がCorrido Tumbadoの存在を知ったきっかけとなった楽曲がこちら。

2019年発表のEl Dripです。もう始まった瞬間かっこよすぎ…

めまいを起こすようなギターのフレーズに「なんじゃこりゃー」となり、 調べるうちにコリードが原型であったことを知りました。

コリードには2拍子系・4拍子系・6拍子系のいくつものリズムパターンがあります。

Natanael Canoの曲は6拍子のものが多いですが、シンコペーションを多用することでヒリヒリするような緊張感が出ていますね。

というかこのギターサウンド、艶っぽすぎる…フラメンコにも似て鬼気迫るものを感じます。

レコーディングが本人の音かは定かではありませんが、ちゃんとライブではギター弾き語りもやってます。

案の定、歌詞で使えそうな部分はないのですが(笑)ひとつ面白い表現がありました。それがnunca jamásというフレーズです。

nuncaもjamásもスペイン語では「決して~ない」を表す言葉で、jamásのほうがより強いという理解みたい。

これを重ねるのはちょっとした言葉遊びのようなものでしょうか。

ちなみに、スペイン語圏のピーターパンが暮らしている国は"País de Nunca Jamás"というそうです。意外と古い言い回しなんですね。

El Drip

El Drip

  • Natanael Cano
  • メキシカン
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

Junior H

2002年、グアナファト生まれのJunior H。Natanael Canoと同世代かつ、同じレベルで成功を納めているミュージシャンです。

ラップで遊びながらYouTubeでギターを学び、本格的に音楽活動を始めるまでコードは弾けても楽譜は読めなかったという、いかにもラテンのミュージシャンな逸話もあります。

ご紹介するのは2020年の楽曲Atrapado En Un Sueño

<変な夢に捕らわれてる>という歌い出しですが、何がしかハッパに関する歌のようです。

Natanael Canoの特徴をスピード感と緊張感だとすると、Junior Hはもう少しゆったりペースのものが多い。

けれど輝くようなギターサウンドは彼の楽曲にも顕著。 本人もギターから入っただけあってバリバリ弾き語ります。

Atrapado en un Sueño

Atrapado en un Sueño

  • Junior H
  • メキシカン
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

Los Hijos de Garcia

ラスベガスを拠点に活動しているというLos Hijo de Garciaは、マーチングで使うようなブラスバンドにアコーディオンという不思議な編成のバンド。

超絶技巧のアコーディオンにロック的なドラムとベースを絡めてみたり、なかなか独自の表現を追求しています。

そんな中、2020年に発表されたTomas Solaは伝統的なコリードに近いですね。

ラスベガスだけあって、いかにもショーという感じ。

この曲ではBanda La Fantasticaという大編成バンドをフィーチャーし、さらに派手派手になっています。

ちなみにこのバンドもメキシコ人の集団ですが、LAを中心にカリフォルニア州で活動している模様。

こういうマーチングバンド的なグループがメキシコにはけっこう多いみたいですね~。マリアッチとはまた違い、ジプシーバンドのような印象も受けます。

Tomas Solaというタイトルは、一人で飲んでいる女性のことを言っているのでしょうか?歌詞がどこにも載っていなくて、曲だけ聴いてもよく分かりません←

Tomas Sola (feat. Banda La Fantastica)

Tomas Sola (feat. Banda La Fantastica)

  • Los Hijos De Garcia
  • メキシカン
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

おわりに

ご紹介した3組のミュージシャン、全てRancho Humildeというレーベルに所属しています。Jimmy Humildeというミュージシャンが立ち上げたみたい。

このように大衆的でないレーベルは実に面白いですよね~。私なんかはもはや対象年齢を超えているのかもしれませんが、ちょっと追いかけてみたいと思います。

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おしまい