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筑波山に眠る廃墟…?「ガマランド」探訪記【つくば市】

都内在住の友人(スペイン人)から「DEKAEさん、廃墟に行きましょう」と誘われました。

送ってきた地図に示されていた場所は、茨城県の霊峰・筑波山。東京在住10年近くなっても一度も訪れたことがなく、こんな近くに廃墟があったとは露知らず…

調べてみると、その場所の名は「ガマランド」。名前からしてB級感が漂い、期待をおさえきれません。

興味津々、つくばエクスプレスに乗ってつくば市へ出かけました。

筑波山へ

こんにちは、DEKAEです。

東京から電車とバスを乗り継ぐことおよそ1時間半、思いのほかあっという間に筑波山に到着しました。

男体山と女体山のふたつからなる山は特徴的なお姿。それぞれに「イザナギのみこと」「イザナミのみこと」が祀られ、山全体がご神体としてあがめられる由緒正しき霊峰です。

さらに2体の神はここで神を産み、国を作ったとまで言われています。

山の中腹に「筑波山神社」が鎮座していますが、これまた立派なつくりで思わず感嘆してしまいました。

ここにやって来るまで、そんなこともまったく知らなかったDEKAE。一応、自称民俗学ヲタクです。学び続けることに意義があるのですよ☆

ガマランド

さて、つくば駅を出発したバスは終点「つつじヶ丘」に到着。Google Mapによると、くだんの廃墟ガマランドがこの辺りにあるはずなのですが…

んっ?

あ、…これは明らかにガマですね。

「この辺り」どころか、バス停&駐車場の真横が噂のガマランドでした。

かつては屋上遊園地として子どもたちを楽しませたこの場所も、いつしかその遊具たちは生命を失い、サビつき朽ちていくのを待つばかり。

もはや遊ぶことがかなわない今でも立ち入りは自由で、哀愁漂うB級スポットになり果ててしまったのです。

これこそが、この場所が「廃墟」と呼ばれ一部のマニアを魅了するに至った理由。

早速、その遊園地跡を覗いてみましょう。

この通り、「大人」ならが誰しもキュンとしてしまう往時の乗り物たちが静かに訪問者を待っています。

訪れた日は、あいにくけっこうな雨降り。

乗り物の座席には水がたまり、あまつさえくもの巣も張っている始末…乗り込んでみようという気にはちょっとなれません。

どれだけの子どもたちがこのドラゴン(?)と楽しいひと時を過ごしたのでしょう。

昭和のかほりを残す看板も、なんとも情緒的です。

同行者が「DEKAEさん見てください。ブロッコリーのお化けがいます…」と指し示す先にあったのが、この禍々しい像。

「本当だ…」などと言いながら怯えてましたけど、コアラでしたね。

しかし、さらに恐怖を感じたのがこちら。

首のもげたキリン。訳ありげな顔であらぬ方向をじっと見つめています。

遊園地は2階にも続きます。この辺りは宇宙をコンセプトにしたゾーンだったようですね。

これは動いていれば乗ってみたかった!

シャトルの傾斜がものすごく、どうやって乗り込むんだろうという感じでした。円周も短いので、これで何周もしたらめまいがするかも…

階下ではアーケードゲームが眠っています。ハ○ーキテ○の遊具でふさがれた螺旋階段も、かつては上り下りできたのでしょうかね。

いよいよ階段を登ってみます。

施設がいつ完成したのか分かりませんが、スタ○ウォ○ズの世界観に近いように見えるのは気のせいでしょうか…

ちなみに私ここで盛大に滑りこけそうになりましたので、雨の日に訪れる方はお気を付けくださいね。

もう少し奥に進んでみましょう。

なんじゃろうと思って覗いてみたら、大量のおたまじゃくしが泳ぐ池でした。

「神秘・ガマの滝」は枯れちゃってるけど大丈夫かな…

この上に鎮座するのがガマランドの守り神(?)ガマ大明神です。

小高い丘のうえから周辺を見守るガマ大明神。けっこうなデカさです。

木彫りのようですが、こんな場所にこの大きさの像って…作業工程や金額など、つい下世話な方向に思いが至ってしまいます。

大明神の横には登山道へと続く遊歩道が整備されていますが、なかなかワイルドですね…

雨だったのでもちろん歩けませんでしたが、晴れの日でも勇気いりそう。

ひぃッ!突如の女性像。めっちゃ怖い。

切り上げて戻ろうとしたら、何やら異様なものが視界に入ってきます。

屋上に、あんな大きなカエルが…!

配置場所はけっこう考えられていて、高いところに登るまで気づかないような仕組みになっています。笑

カエルが見える場所には次のような説明書きが。

「日本ではじめて空をとびました。今屋上でちょっと一休みです。会ってください」

しかし何でシマウマ乗ってんだろう…

望遠鏡もありましたが、この日は真っ白すぎて何も見えず。

ガマ洞窟

このようにとってもファンシーなガマランドですが、ひときわ異彩を放つのがこちらです。

1階にぽっかりと口を開けてたたずむ「ガマ洞窟」。なんと現役で営業しているというではありませんか!

隣の売店で入場券を購入できるようです。

買ってみました。筑波山の2つの山をカエルの頭に見立てているわけですね…

大人1枚500円。子どもは半額だったと思います(対象年齢は未確認)。

いざ、謎のガマ洞窟に潜入してみましょう。

ここから先、写真を載せるとネタバレになってしまうので控えます。直接あなたの目で確かめてきてくださいね。

1つだけご紹介しますと…

同行者が「ジョージ・ブッシュだ」と言い張る謎のお面。

入口からも何となく想像できましたが、非常に手作り感あふれるアトラクションです。

かなり暗いので、小さなお子さんですと怖がって出てきてしまうこともあるそうですよ。

通気口から雨漏りしてくるのも本物の洞窟っぽくて妙に臨場感がありました。笑

意外と広く、けっこう冒険した感があります。ゴールを抜けると思わぬ場所に出てくるのにもびっくり!

筑波山に来たら絶対に訪れたいスポットといえるでしょう。

筑波山と四六のガマ

ところで、なぜこのように「ガマ」推しなのでしょう。その歴史は江戸時代にまでさかのぼります。

そもそもガマとはヒキガエルのこと。特にニホンヒキガエルは前足が4本指、後足が6本指に見えることから「四六のガマ」と呼ばれています。ガマランドの池に放たれていたおたまじゃくしは、ニホンヒキガエルのものだったわけですね。

江戸時代、筑波山のお寺のご住職が持っていた軟膏が、大変有効な傷薬であるとして評判を集めました。

やがて、これを筑波山麓の香具師が「四六のガマの油」として江戸で売りさばくように。大道芸で人を呼び集めて口上を述べるわけですが、その内容というのが…

筑波山には霊力を秘めた四六のガマがいる。このガマを、四方が鏡になった箱に閉じ込める。

自分のことを美男であると信じているガマは、壁に映る自分の姿を見てびっくり仰天、たらりと脂汗を流す。この汗を煮詰めたのが「ガマの油」である――

この売り口上がこれまた大人気で、後世に日本伝統芸能のひとつして保存されるに至ります。

江戸時代の成分が何だったのかは謎のようですが、戦前には本物の蟾酥(せんそ、カエルの皮脂腺の分泌物)を使用した「ガマの油」が売られていたそう。

今でもその名をとどめた軟膏が筑波山名物として売られています。ま、現在はワセリンなどが主成分だそうですが。

レストラン

ガマランドはお土産屋と食堂が入る建物に併設されています。

せっかくなので、こちらで昼食をいただくことにしました。

入店すると、まずは食券を買うよう指示が。ノスタルジックな食品サンプルから本日の昼餉をチョイスします。

うどん・そば・とんかつ・カレーといったスタンダードなラインナップ。

わっ渋~い!

スペイン人の同行者はもう大興奮。目をキラッキラさせながら「ここに座っていいですか!」と聞いてきます。

私はスニーカーの靴紐をほどくのが面倒くさいという実利的問題をかかえていたのですが、あまりにも高まった同行者の気分に水を差すわけにもいかず…

黙ってこちらに座ることにしました。

客は我々だけでしたが、かつ丼セットを頼むとけっこう時間がかかったので(笑)待つ間に店内を散策。

実にいい味を出しているポスター群です。

ちょっとしたゲームコーナーもありますが、稼働しているのでしょうか。

窓からガマランドを覗けます。

かつ丼セット(税込1,050円)。甘めの味付けになつかしさを感じる…

アクセス

筑波山は多くの登山客を迎え入れているため、自家用車はもちろん都内からのアクセスも容易。

つくばエクスプレス(TEX)の一日乗車券を購入すれば、よりお得に往復できますよ。

「筑波山あるキップ」はTEX各駅から終点つくば駅までの往復と、つくば駅から筑波山までのバスの往復がセットになったもの。

さらに登山道を往復するロープウェー・ケーブルカーの往復もセットになった「筑波山きっぷ」も販売しています。

おわりに

確かにガマランドの遊具たちは運転休止しているものの、レストラン・売店や洞窟はしっかり営業中。「廃墟」ではなかったですね。笑

ただ、今回はコ○ナ禍と悪天候が重なったせいか登山客もまばらで、若干のホラー映画っぽさを味わえたのも事実。

紅葉シーズンの週末などは大混雑するようなので、ある意味ラッキーだったかも?

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おしまい