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世界遺産「五箇山の合掌造り集落」がかなりハードコアであった【富山県】

こんにちは、DEKAEです。

合掌造りといえば岐阜県の白川郷の知名度が圧倒的ですが、そのすぐ近くにも合掌造り集落が点在していることをご存じでしょうか。

富山県の五箇山にある合掌造り集落は、白川郷と同じく世界遺産に登録されています。

にもかかわらず観光地化があまり進んでいないため、より落ち着いた雰囲気で合掌造りを味わえるのです。

この記事では、そんな五箇山エリアにある2つの集落の魅力と、私が実際に泊まった合掌造りの民宿をご紹介しています。

五箇山の合掌造り集落

五箇山の合掌造り集落は富山県の端っこ、南砺市に位置しています。

豪雪に耐えうるよう、家屋に特徴的な茅葺き屋根を配したことは説明するまでもないでしょう。

歴史は意外と古くなく、ほとんどが江戸時代~明治初期時代に建てられたとのこと。

屋根裏部屋で養蚕が営まれたほか、五箇山では火薬の原料となる塩硝づくりも重要な産業でした。

岐阜県の白川郷が世界遺産に登録されたのは1995年のことですが、実は同じタイミングで五箇山の2つの集落も登録されているのです。

しかし、国内外問わずなぜか白川郷しか一般に知られてないですよね。かくいう私も白川郷への旅行を計画していた際に初めて知りましたし←

もともと五箇山の集落が白川郷に比べて小規模だったこともあると思いますが、あまり大々的に観光地が推し進められていない印象です。

というわけで、白川郷にも立ち寄りつつ、五箇山メインでがっつり滞在してみました。

菅沼合掌造り集落

概要

五箇山の2つの合掌造り集落のうち、まずは1つめの菅沼集落。

9軒の合掌造り家屋が残る集落はとても小さく、一周するだけなら5分もあれば充分な規模です。

白川郷からは車で30分ほどのところにあり、今回はバスで訪れました。

「菅沼」バス停。トトロっぽい趣です。

バス停の中にはご丁寧にコインロッカーが…けっこうデカいのでスーツケースもいけそうです。

菅沼集落には文化施設が2軒あります。ちょうど到着した日から冬休みに入っていたのでまったく見られませんでしたが。

五箇山民俗館には集落の生活様式などに関する展示があります。

こちらは塩硝づくりの歴史や製法について説明してくれる施設。

集落内のお店など

日中であれば、集落内で営業しているお店がいくつかありますよ。

特に公共交通機関で訪れた場合、集落外のお店に行くのはほぼ不可能なので非常に助かります。

しかし訪れた日は見学施設も閉まっていたし、飲食店が営業しているか不安…

集落の奥にある「五郎平」さんです。

のれんがかかっているのでおそるおそる扉を開けてみると、営業中でした!よかったー

次のお客さんが来るまで、しばらく貸し切りで昼食をいただきました。

ご店主のお孫さんたちがあいさつしてくれたりお店のお手伝いしてくれたり、にぎやかな雰囲気です(笑)

ぜんざいやアイスなどの甘味と飲み物もあるので、喫茶使いでもできます。

祖父母宅感。

お願いしたのは五箇山とうふ御膳(税込1,700円)。

五箇山は豆腐で有名です。今のようにタッパーなどない時代、紙や葉で包んで持ち運べるように水分を極限まで抜いて作っていたのが定着したそう。

非常に固い木綿豆腐のような食感が特徴です。朴葉焼き・豆腐刺し・厚揚げ豆腐と豆腐尽くしで大満足!!

右のお新香は赤かぶらの漬物。お米も美味しいしこれだけでご飯1杯いけそう…

貼り紙がしてあったくま汁(600円)も試さないわけにはいきますまい。

私ジビエ大好きなんですけどね、これが運ばれてきた瞬間、想像以上のにおいに少々怯みました。

なんていうか、豚とか羊のような「肉のにおい」じゃなく熊そのものなんです。小さいころ熊牧場でだっこした赤ちゃんの毛触りとか温もりまで思い出してしまったほど。

お汁はけっこう塩気が強めですし、ゴボウでうまくにおいを消してあるんですが…それでもいただきながら涙が出そうになっちゃった。

肉自体はジューシーでクセもなくて美味しかったんですが、熊好きとしてはちょっと…今後は好んで食べることはないかもしれないorz

ご店主に感想を聞かれたので正直に伝えたところ、地元の方でも「熊鍋もやりますけど、猪とかより量は食べられないですね」とのことでした。

ちなみにこの肉は冬眠明けのツキノワグマだったそうです。うえーん

ただ「今日はきじそばができなくて…」とおっしゃっていたのですが、きじもめっちゃ気になるんですよね~←

ほかには岩魚の御膳もいろいろあり、「いわなそろばん」という料理が気になりました。

五郎平さん以外にも何軒かあります。

こちらは休憩処兼お土産物屋の「あらい」さん。

うどん・そばの軽食のほか、お酒とおつまみもあります。甘味はぜんざい、五平餅、硝塩アイス(なんか口の中でパチパチするらしい。よもぎ味で気になりました)など。

おやつに、とちの実を練りこんだ餅が入ったとちぜんざい(税込550円)をいただきましたよー。

めっちゃ柔らかいお餅でした~。ほんのり香ばしくて面白い。

展望台

集落内をうろうろするのも楽しいですが、全体を一望できる展望台があります。

しかも合掌造り集落で唯一、エレベーターというすばらしいサービス付き。

えっトンネルが入口?ちょっと怖い。

「遺産駅」…なんか終末世界が舞台のSFみたい。

上階にたどりついてもすぐに眺望が開けているわけではなく、少し歩いて移動する必要があります。

♪ぼうや~よいこだねんねしな~

願わくば四季折々の風景を見てみたいですね。年に何度かライトアップもやっています。

菅沼集落には宿泊施設がなく、この辺りで泊まれるのは「五箇山合掌の里」という青年の家的な場所だけのようです(冬季休業)。

相倉合掌造り集落

集落内のお店など

続いてやって来たのは、菅沼より少し大きな相倉(あいのくら)集落です。

菅沼集落からはバスで10分程度。ただし、この「相倉口」バス停から集落の入口までけっこうな坂道を登って行かなければなりません。

乗用車の駐車場は集落入口の前にあります。 荷物預りもありますよ。

相倉集落には民宿が多数ある一方、その他のお店が少ないです。見学施設はいくつかありますが、訪れたときは冬季休業中でした。

飲食店はおそらく2軒だけ?そのうちの一軒が「まつや」さん。

あまざけ(税込380円)をいただきました。そばやうどんなどの食事もできます。

暖かい店内で雪景色をゆったり堪能~。

まつやさんはお土産屋も兼ねており、けっこうな規模で懐かしの玩具や雑貨なども取り扱っています。

展望台

相倉集落にも展望台がありますが、なかなかの悪路をせっせと歩いて登らなくてはなりません。

入口には看板が立っていますが、途中から案内が消えるので先人がいないとけっこう恐いです。

本当に「山あいの村」という言葉がぴったり。

史実に残っているわけではないですが、源平合戦に敗れた平家が五箇山に落ち延びてきたという伝説があるそうです。

あまりにも周囲から隔絶された場所に見えるので、その説もあながち間違っていないのでは?と思ってしまう。

日没後の風景は格別。展望台への道を照らすものがないので、真っ暗になる前には撤収しましょう。

合掌造りの民宿

なかやさん

さて、今回の一番のお楽しみは!合掌造りの民宿に泊まることでした。

しかし。白川郷もなんですが、おひとり様お断りだったり電話でしか予約できなかったり…という宿がほとんどなんですよね。

その中で唯一、一人からネットで予約できた大変ありがたい存在が、集落の一番奥にある「なかや」さん。

温かいおじちゃん・おばちゃんご夫婦が営むきれいな宿です。

集落内に数ある民宿の中でも、入口の雰囲気などは一番こだわられていた印象です。

囲炉裏のある部屋でお茶をいただきながらチェックインしてくれました。

食事

食事もこのお部屋で!居酒屋とかでなく、本当の炉端でのご飯は初めてでした。

夕飯は同宿の皆さんと同じ時間にいただきます。

山の幸がいっぱいの夕飯。山菜大好きっ子としてはたまらないラインナップです。ご飯3杯くらい食べちゃった

お刺身は鯉のあらい。丁寧に処理してあり、まったく臭みがありません。

囲炉裏では岩魚が焼かれています!すご~い(ワクワク)

豪快に串刺しされた岩魚は、このままかぶりついて。頭から尾まで残さず平らげてしまいました。

もちろん名物の五箇山豆腐も。水分が少ない分風味がしっかりあるため、シンプルに冷ややっこでも美味しいですね。

五箇山の田舎味噌が本当に美味しかったので買って帰っちゃいました。

水菓子には甘い柿。干し柿も五箇山の特産で、あちこちの合掌造りに柿が吊るされているのが印象的でした。

こちらは朝食。もちろんお味噌汁付きです。

金沢スタイルのおでんが出てきたのにびっくり!五箇山は加賀藩の領だったようなので、その名残なんでしょうか。

部屋・その他

客室は広い和室が3部屋あるようです。

典型的な和風家屋のため、襖1枚隔てて隣のお客さんという感じ。少々気を遣いますが、それもまた日本の民宿っぽいですね。

冬の夜は冷え込みますが各部屋にヒーターがあり、布団にも電気あんかを入れといてくれるのでめちゃめちゃ暖かく過ごせました。

タオル・歯ブラシ・浴衣も置いてくれています。

風呂・トイレは共用ですが、循環式の湯船にいつでも入れるという幸せ…。

床が石のため、冬場は絶叫です。そこだけご注意ください(笑)

超ハイテクマッサージチェアーのお世話になりました。

足つぼグリグリされて悲鳴。しかし人間じゃないので緩めてくれないのがつらいw

コロナ以前は宿泊客の3分の2以上が海外からの旅行者だったそうですよ。彼らが持参したお土産品が飾ってありました。

オランダとニュージーランドの多さが印象的。

アクセスなど

秘境感のある五箇山集落ですが、実は非常にアクセスがいいんですよね。

富山県から来る場合は高岡市から車で60分程度。岐阜県からでも、高山を拠点として白川郷→五箇山と日帰りで回ることも充分可能です。

公共交通機関派の方は、高山・白川郷・高岡をめぐる「世界遺産バス」がものすごく便利。

世界遺産バス(高岡・城端・五箇山・白川郷) | 加越能バス

私もこれを使いました。

おわりに

世界遺産とはいえ、あくまで生活の場である合掌造り集落。ライトアップイベント時を除き、8~17時以外の見学はご遠慮くださいとされています。

というわけで、集落内の民宿に泊まれば観光客のいない神秘的な時間を過ごせます。

まさに日本の原風景に触れられるので、一生に一度は体験してみてはいかがでしょうか。

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おしまい