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N響×ノセダ×アリス・紗良・オットのラヴェル『ピアノ協奏曲』

こんにちは、DEKAEです。

NHK交響楽団、2018年11月の定期公演Cプログラムに行ってきました。

ジャナンドレア・ノセダ指揮×アリス・紗良・オット独奏です。しかもラヴェルのコンチェルトっっっ

 

当日券ほぼ売り切れのお知らせ

一時期N響のAプログラムとCプログラムは会員券を購入していて、各シーズンのチケットは自動的に手元に届いていました。

諸事情によりこれを解約し、最近は本当に興味のある回だけ自由席で入っています。

平たく言うと経済的に困窮したわけですが…

NHKホール開催のA・Cプロは、自由席なら¥1,500なのでかなりおトクに楽しめちゃうんですよね。

ということでこの日も当日券で自由席を購入しようとしたら

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 えっ

NHKホールはかなりの大箱なのでここまで売り切れるのは極めて稀です。それだけマエストロ・ノセダとアリスさんへの期待値が高いということですよね…そりゃみんな見たいよね

一瞬帰ろうかと思いましたが…まぁせっかくここまで来たし、念願のアリスさんでラヴェルだし…と踏みとどまり、震えながらA席を購入しました。とんだ出費よ

ですが!本当に帰らなくてよかった!!

 

モーリス・ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルは協奏曲と名のつくものは生涯に二曲しか作曲していませんが、その一つがこの『ピアノ協奏曲ト長調』(1931)。今回初めて聴きます。

『フィルハーモニー第90巻第8号』によると、ラヴェルは第一次世界大戦や母の死のショックにより、しばらく創作活動が停滞していました。そんな彼の創作意欲に再び火をつけたのが国外での演奏旅行、とりわけアメリカ合衆国でガーシュウィンなどと親交を深めた経験。

このコンチェルトはアメリカからの帰国後に書かれたものであり、かなりポピュラー音楽寄りな印象。クラシックを聴かない層にも耳あたりがいいんじゃないでしょうか。

ゴジラのメインテーマにこの曲の一部が使われているという情報をネットで見ましたが、本当なんでしょうかね?

いきなりムチの音で始まる第一楽章はジャズの要素を取り入れたものになっており、まさにガーシュウィンを思わせる旋律や金管楽器の演奏法が登場。また、お母さんの故郷であるスペイン・バスク地方の民謡も登場します。

第二楽章はひたすら甘美。かなり長いピアノの独り言で始まります。後述しますがアリスさんのこのソロがめっちゃ良かったです。

終楽章。ピアノとオケの丁々発止が続くかと思えば、あれっ?という感じであっさり終わります。クライマックスを大げさにやらないところがおフランスっぽさ・ラヴェルっぽさですね。

ピアノコンチェルトと言ってもピアノを主役に据えてガンガン弾かせるというものではなくて、「ピアノと仲間たち」といった風情でしょうか。

入れ代わり立ち代わり現れてくる様々な楽器のソロの中からピアノが顔を出したり、絡んだりといったアンサンブルを楽しめる一曲です。

ちなみにもう一つの協奏曲もピアノ独奏のためのもので、その名も『左手のためのピアノ協奏曲』。こちらもN響の、2017年のラヴェル没後80年記念公演で聴きました。

MeToo運動で残念なことになったあの方の指揮で。笑

これもジャズ要素と超絶技巧がふんだんに入っていて楽しい。何よりピアノは両手で弾くものという既成観念を打ち破ったという点で大変に意義深い一曲です。

 

アリス・紗良・オットの魅力

いや~アリス・紗良・オットさんね。この方を生で拝むのは初めてだったんですが、元々テレビなんかを見ていて面白い人だな~と思っていたのですよ。天真爛漫って言葉がぴったりというか。

そして私と同世代、デジタル世代の申し子でもある。

「練習をサボって本を読んでいてもバレない方法」=本を読みながら足でピアノを弾く動画とか、今回弾いたラヴェルのコンチェルトの3・3・2のリズムは「ナマムギナマゴメと言いながら弾けばいい」っていう謎のレッスン動画をインスタに上げちゃうような人なのです。

この日はひらっとしたドレスに裸足。とととっと小走りで現れ、軟体動物のようにお辞儀をしていました。実物はテレビやインスタよりさらに魅力的ですよ…

今回のコンチェルトは特に二楽章が白眉でした。冒頭のソロは情感たっぷりでありながら あまりくどくなくて…そのバランスがかえって切ないっ

息の長いフレーズが続きますが、力強いタッチで音の伸びがいいため、一つの大きな歌に包まれているように聞こえます。

またこの楽章は独奏ピアノと木管楽器のソロとの絡みが多い。各ソリストを半ば凝視しながらアンサンブルしている様が印象的でした。

かなり好みの別れるタイプではあると思いますが、独特の空気をまとっていることは間違いありません。

あ、アンコールはサティの『ジムノペディ第1番』。これもどこか掴みどころのないキャラに合ってた。

 

後半はロミオとジュリエット(プロコフィエフ)

後半は超有名バレエ音楽『ロミオとジュリエット』より。三つある組曲の中から、指揮者自身が抜粋して再構成していました。

すっきりしたラヴェルの配置とは打って変わり、オケがステージ上を埋め尽くすかのごとくでした。大迫力!

ただ私やっぱりバレエ音楽が苦手なのと、ロミジュリのストーリーにそもそも共感できないようです←

しかしマエストロの手腕か?曲ごとの性格がはっきりしていて、スリリングなシーンの緊張感や舞曲の魅力なんかを存分に堪能することができました。

今回だいぶ奮発してA席に座ったもののNHKホール全体が残念な音響なこともあり、自由席で充分でしたってのが正直な感想かな…。ソリストとかが物理的に近いのは魅力ですが。

 

おわりに

最近この本を読んで、ピアノって良いよねと改めて考えていたところ。

この本はピアノ好きなら知っているかもしれませんね。

昔ピアノを習っていたアメリカ人と、パリの路地にひっそりとアトリエを構える若きピアノ修理職人の交流を描いたエッセイ。

全編がピアノへの愛情(たまにレッスンや発表会についてのほろ苦い思い出)に溢れていて、「昔ピアノを習っていた組」にはたまらない内容になっています。

音色だけでなく見た目や構造にも注目してみると、ピアノって本当に唯一無二の楽器だよなぁと思いますね。

 

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おしまい