你好(リーホウ)、DEKAEです。
2019年末、台湾を鉄道で一周する「環島」に出かけてきました。
台湾鉄道で「環島」!台鐵の列車の種類・乗り方を整理します【台湾一周】
中でも最も楽しみにしていたのが、南部の枋寮駅から台東駅を結ぶ「南廻線」!
実はこの路線、一部の鉄道好きからアツい視線を集めているのですが…
その理由は、一日に一往復だけこの路線を走る、昔ながらのディーゼル機関車にあるのです。
台湾鉄道の普快車
はじめに、今回乗り込む「普快車」の説明を少し。
台湾の鉄道にも停車駅数によって種別があり、例えば各駅停車は「区間車(區間車)」と呼ばれます。
ところが、かつて台湾の列車がディーゼル機関車だったころは「普通車」と呼ばれる種別が各駅停車だったのです。
鉄道路線の電化が進むにつれてディーゼル機関車は数を減らしつつあり、種別の呼称も変わっていきました。
従来の「普通車」は「普快車」に改称。電化区間の各駅停車は「区間車」となって、現在に至ります。
そんな中、台湾に唯一残る非電化区間が「南廻線(南迴線)」。台湾最南部の屏東県にある枋寮駅から、東部の台東駅を結ぶ路線です。
南廻線内の駅には電車が停まれないため、この区間の各駅停車はディーゼル機関車で運行。これが今回乗った「普快車」です。
現在この種別が走っているのは台湾でもここだけ。「最後の普快車」なんですね。
運行は一日たった一往復!さらに、東シナ海を望む車窓風景は台湾でも随一の美しさを誇ります。
このようにロマンをくすぐるポイントが目白押しのため、鉄道旅好きから大人気なわけですな。
南廻線(南迴線)の電化工事
オール電化プロジェクト
一時期日本で流行ったキャッチコピーのようですが…
実は2017年ごろから、台湾鉄道の全区間を電化する計画が進んでいます。
2019年末日までに屏東線(潮州駅~枋寮駅)の電化工事までが完了、残すは南廻線のみとなりました。
私が訪れた2020年の年明けには、正真正銘の「最後の非電化区間」となった南廻線の電化工事が絶賛進行中。
枋寮駅の工事風景です。
電化工事に伴い、各駅のハード面の整備も並行して行われています。
単線だった南廻線の複線化、ホームへのエレベーターの設置工事などの様子を車窓から確認できました。
普快車廃止の噂は…?
南廻線の電化工事の完了予定は2020年末とされています。
そうすると台湾から普快車、ひいてはディーゼル機関車が姿を消すのでは…と危ぶまれていました。ま、それで私も電化完了前に乗りたいと思ったわけなんですけどね。
しかし一説によると、存続を望む声が多いために廃止にはいたらないのでは…という見方が濃厚のよう。
ただ、こればかりは分かりませんからね~。引き続き普快車の行く末に注視していきたいと思います。
※2020年12月18日追記
予定が前倒しになり、20年10月末に全線電化工事が完了。12月23日より新ダイヤでの運行となることが発表されました。懸念されていたとおり普快車は運行取りやめとなるそうです…無念。
この記事は台湾ノスタルジーの一片を記録するものとして残しておきます。なお普快車の車両は改造され、観光列車として引き続き使用される予定だそうです。
[普快3671]枋寮‐台東
きっぷを買いましょう
さて!いよいよ念願の普快車への乗車の日です!
一日一往復しかしない普快車は、枋寮から台東に向かう普快3671、折り返し台東から枋寮に向かう普快3672の2本だけ。
私は枋寮に一泊し、翌午前出発の普快3671に乗ることにしていました。
枋寮に到着した日、駅の窓口できっぷを買おうとするもうまく伝わらず…なぜか最新版の時刻表をくれる。笑
持参したニュー台湾時刻表(日式)8月号には10:40発と記載されていましたが、ダイヤが変わっていました。実際は11:28発。
まぁこれでダイヤ改正を知れたので結果オーライでした。
枋寮駅周辺には観光客が訪れるような場所は無いのですが、普快車の発着時間だけは多くの鉄道ファンで賑わいます。
券売機もばっちり普快車仕様!
ICカードを持っていれば、わざわざ券売機できっぷを買う必要はありません。
ただ、普快車は他の列車より運賃が低く設定されているんです。一般的な車両に完備されている冷房設備が、普快車には付いていないのがその理由。
南国の台湾、特に夏に冷房なしの列車はかなり辛い環境になるということのようです…。
しかし、ICカードで入出場した場合の運賃は他の列車と同額。つまりICカードを使って普快車に乗ると若干損をする、という不思議な状況でした(笑)
ちゃんと普快車のボタンがあり、異なる値段が記載されています。デザインが派手すぎて操作しづらいのはご愛嬌
この券売機には硬貨しか入らないみたい。お札しか持っていなかったので、窓口で買うことにしました。
そしたら何とね――!
スペシャルなきっぷくれたぁぁぁ!
いかにも観光客向けっぽいとはいえ、可愛くないですかッ!?まぁどちらかというと普通の武骨なきっぷが欲しかったんですけど…笑
しかも券売機で買うと104TWDなのに、こちらは100TWDという謎。
普快3671に乗りましょう
きっぷも買って準備万端、できれば普快車の登場シーンにも立ち会いたかったのですが、発車直前まで改札を通れず…。
皆さん駅のホールで待ちぼうけw
ようやくプラットホームに上がったときには、すでに到着しておられました。
きゃー!
もうね、皆さんはしゃぎすぎですから(笑)
いかにも鉄道ヲタク、という感じの男性も何名か見受けられましたが、大半は私と同じような(?)ミーハー。
特にお姉さん方のグループは、別のグループとも意気投合してキャッキャと写真撮影に勤しんでおられました。
全然普快っぽくないファンキーな駅員さんがナイスです。
そんな駅員さんに写真をお願いする、おひとり様こと私。多謝!
無作為に開いた窓がアートすぎる。
先頭のオレンジ色のディーゼル車に引っ張られて、3両の青い客車が走ります。この姿から台湾人には「藍皮車」の愛称で親しまれているんだとか。
客車にはインド製と日本製があるそうです。今回乗ったのは日本製でした。
普快車の客車
こちらが普快車の客車の様子です。
ランダムに切れた蛍光灯、整然と並ぶシート。シートはちゃんと回転します!
そして、冷房が無い代わりに一直線に並ぶ扇風機。
抑えた色使いやシンプルなデザインから、社会主義チックな美を感じる(笑)
最後車両だけはこんな感じ。無機質な感じからは古いSF映画のような印象も覚えます。
旅のお供にはこれ。枋寮駅で買った「かいようおいしい物」です。
いかなる料理も美味しい台湾なのに、なんでスナックはこうなっちゃうの…?笑
多くの窓が開いたまま時速80kmで走るので、車内には風がビュンビュン吹き荒れます。
しっかり持っていないと、かいようおいしい物が袋ごとブッ飛んで行きそうで恐怖…
私が乗ったときは一応冬だったので、こんなに窓開けなくても涼しかったんですけどね。笑
トンネルに入るとアドベンチャー感が激増。ジェットコースターのような音がします。
エンジンの排ガスが車内に入ってくるのでマスクが欲しい…。そういえば枋寮駅にはマスクも売ってたなぁ
先頭まで行くと、我々を牽引してくれるディーゼルくんのおしりが見えますよ~。ここにトイレも。
おトイレは見た目こそ古いものの、決して不潔ではありません。よく手入れされていることが伺えます。
水も普通に流れますよ。ただし紙は付いていなかったので、持参する必要があります。
車両連結部。後半、両側の扉を開けっぱなしのまま走っていることもあり、冷や冷やしながらトイレまで移動しました(笑)
これは車窓からの風景のほんの一部。このように美しい海沿いを走る区間が続きます。
線路沿いの其処ここに撮影ポイントがあるようで、ファンがカメラを構えて普快車を待っていた場所がいくつかありました。
2時間半ほど走って、終点の台東駅に到着します。到着後、ディーゼル機関車は離されて去ってゆきました…
その他
枋寮駅の自販機。列車型のペットボトルかわいすぎませんか…?涙。
枋寮と台東の各駅には、勝手に押せる記念印が設置されていたので押しときました。
ただ、このスペシャルきっぷ、台鐵職員にもあまり浸透していないようで…
検札にきた車掌さんも「んっ?」という顔をしてからハンコを押してましたし、台東駅の改札で駅員さんに見せたときも「んっ?」という顔をされました。笑
この点、普通のきっぷは出場の際に回収されてしまいますから、やはり記念に持ち帰れるのは良いですね。
そして、しれっと印刷された「おれんじ鉄道」の文字。
2019年、屏東線・南廻線が、九州の第三セクターの鉄道会社「肥薩おれんじ鉄道」と姉妹協定を締結したそうです。
終わりに
完全なるミーハーで乗ってきた普快車、アトラクション感覚で大変楽しかったです。
南廻線の電化工事が終わり、もう同じ体験はできないと思うと少しキュンときますね。
非電化のうちに乗れて良かったです。
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おしまい