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ローテンブルクと間違えてローテンビュルクに到着した日本人の末路【ドイツ】

ドイツ南部の小ぢんまりした町Rothenburg(ローテンブルク)。

この町はスタジオジブリの『ハウルの動く城』のイメージになったとも言われていて、日本人にも人気の旅行先ですよね。

で、なぜ今さらそのようなメジャーな観光地をテーマにしているのかと申しますと…

恐ろしい出来事に遭遇し、結局ローテンブルクにはたどり着けなかったからなのです―――

ローテンブルク

ローテンブルク行きの顛末

グリュスゴット(こんにちは)、DEKAEです。

大学4年生の夏休み、突如「卒業までに一回くらい海外旅行に行っとくか…」と思い立ちました。

社会人になった今でこそ海外旅行依存症みたいになってますが、実はそれまで行ったことがなかったのです。

当時はまぁとにかく外国人と日本語以外の言語で喋るなどということは不可能だと思っていましたので、とりあえず知り合いがいる国で…

あ、ドイツにいたわ。

折しもその頃、幼馴染がドイツ南部のハイデルブルク大学に留学していたのです。てなわけで、記念すべき初海外旅行先がドイツに決定。

オススメの街を聞いて、ハイデルブルクに友人を訪ねた後はローテンブルクへ向かうことに決めました。

ハイデルブルクに立ち寄り

初めての国際線、緊張のあまり足が震えるも無事ミュンヘン国際空港に到着です!

翌日ユーレイルパスで幼馴染の住むハイデルブルクに向かい、その日は丸一日ドイツの学生街を案内してもらいました。

学食とか連れていってもらっちゃったり。

学生運動の首謀者を幽閉していた場所なんてのも。

ハイデルブルク大学はドイツ最古の大学なんだそうです。

いざローテンブルクへ

さて、ドイツの鉄道駅にはアナログなNAVITIMEとでもいうべきサービスがあります。

券売機のような形状のマシンに行き先を入力すると、乗り換え方や金額を印字できるというもの。

別れ際、幼馴染はハイデルブルクからローテンブルクまでの乗り換え案内を印字してくれました。

印字された乗り換え案内によるとニ度乗り換えがあるようです。ローテンブルクまでは小さなローカル線に乗り換える必要ありという『地球の歩き方』の事前情報とも一致。

完全に安心しきって電車に乗り込んだのでした。

あれ、ここローテンブルクですか?

人気のない乗換駅 Hof

電車は時刻通り、乗り換え案内に印字されたHof駅に到着しました。ここからローカル線に乗り換えて目的地に向かいます。

が、ここで異変を感じます。

有名な観光地であるローテンブルクへの中継地点のわりには人気が少ない。

そしてこの国で初めて、電光掲示板に表示された時刻に電車が来ないという事態に直面したのです。次の電車の到着時間まで待ってみるものの、やっぱり来ない――。

え、まさかのストライキ…?

などという考えが頭をよぎったとき、同じホームにいた女子3人組から話しかけられました。

実はもう一組いたのです、日本人旅行者が。

彼女たちも大学生で、ローテンブルクに行くための電車が来なくて立ち往生していたとのこと。

目的地までは電車で一時間ほどの距離でしたが、4人ならタクシーに乗ってもそこまで高額にならないのでは?と話がまとまりました。

このHofという駅の付近、驚くほど何もなかったんですが、駅前でタクシー運転手たちが談笑していました。その中の一人、やたら陽気なオッサンがBMWのタクシーで連れて行ってくれることに。

この方、顔が赤かったし何となく かぐわしい香りを漂わせながら運転してくれたのですが…飲酒運転?法律的に大丈夫だったのかはいまだに謎です。

で、このオッサン英語が全く通じない!ローテンブルクの地図を見せてもイマイチピンとこないご様子。しかしまぁそのまま何となく出発してしまい、これにて一件落着とタカをくくっていました。

この時の我々にはまだ知る由もなかったのです。この時点でとんだ大間違いを犯していたなどということは――

旧東ドイツの小さな村にて

「着いたよ」

そう言われて周囲を見渡すと、あるのは民家ばかり。「え、絶対違いますよね」とざわめく日本人4人。

助手席に座っていた私がもう一度地図を見せながら説明を試みます。

何となく察したらしい運転手。少し車を走らせては住人たちを手当たり次第につかまえ何かを尋ねていますが、皆さん肩をすくめるばかり。

やがて車はバーベキュー開催中のとある民家の前で停まりました。我々はここで衝撃の事実を知ることになります。

これまた酔っ払いのシュッとしたおじさまが登場し、流暢な英語で楽しそうに話しかけてきました。

「ここは全然違う場所だ。君らが行きたいところはすごく遠くだよ!」

続いて家の中から若い女性が出てきて、紙を手渡されました。何と彼女は地図を印刷し、ご丁寧に英語でメモまで書いてくれたのです。そこにはこのように書いてありました。

「残念ながらあなた方が今いるところはRothenbürgという小さな村です。おそらく目的地は、ここから250km離れたRothenburg ob der Tauberでしょう」

―――しーん。

つまり、アレです。

幼馴染が調べてくれた乗り換え案内も、女子大生たちが調べた乗り換え案内も、似たような名前の全く違う駅名を目的地にしていたのです。

ここはチェコとの国境の町で旧東ドイツ、道理で英語もあまり通じないわけです。

「そんな所まで行けない!」

タクシーの運転手にまくし立てられましたが、何なら東京から愛知ぐらいまでの距離感ですしね。

当然我々もそんなお金はありませんので、とりあえずHof駅まで戻ってもらうことにします。

ありがとうバーベキュー中の皆さん…

全く関係ない話ですが、この家のシュッとしたおじさまがすっげー良いにおいだったんです、酒ではなく香水の。話の内容よりもおじさまの素敵な香りに頭がクラクラしてきて(変態)、それ以来 私も香水なしでは生きていけなくなりました。

夜の古都ニュルンベルクでヤンキーに絡まれる

運転手さん、一連の騒動ですっかり酔いも醒めたようでテンションダダ下がってました、ごめんなさい。笑

しかも かなりお手間をかけたので大目に払おうとしたのに、メーター表示よりだいぶ少ない金額しか受け取ってもらえず、何だか余計に申し訳なし…

Hof駅に戻った一行。すでに夕刻を過ぎていたため、とりあえず寝床を確保しなければと「ここから近い大きな街に出たいんですけど」と駅員さんに相談。

するとなぜか執務室に入れていただき、壁に貼ってある時刻表を見ていいよと言われました。

それによると、2時間ほどでニュルンベルクに出られるとのこと。ここは有名と知りながら当初の旅行計画からは外していた街でした。

女子3人組に告げると彼女たちも同行するとのことで、一路ニュルンベルクへ。ユーレイルパス万歳…

で、このニュルンベルクという街。ドイツ人の心の故郷、日本でいうところの京都だと聞いていたのですが…

現地の若者の間ではけっこうなナイトスポットのようで、電車を降りた瞬間 息を飲んだというか。

ボディコン!ヒール!アイライン!的なねーちゃん、ヒップホップ系のにーちゃん達がタバコをプカプカさせてたむろしておるわけです。

誰とも目を合わせないよう足早に駅を出て、とにかくホテルを探さねばと案内板を眺めておりましたら、ヒップホップ系のにーちゃんたちに「どこから来たのー?」とあっけなく絡まれ話しかけられました。

「に、日本ですよ~(震え声)」と引きつった笑顔で返しますと「おお、大阪行ったことあるよ!」なんてプチ盛り上がりしちゃったり。

兄「どこに行きたいの?」

私「ホテルを探してます」

兄「そこのモーテルワンがいいよ。ヘイタクシー!」

と、あれよという間にタクシーを呼んでくれます。

「あ、すぐそこのホテルですね!?歩けるから大丈夫ですよ!ダンケシェーン!!」

などと言いつつ、逃げるようにその場を立ち去りました(というか逃げました)。

その時はとにかく恐怖で…ただ振り返ってみればフレンドリーに親切してくれただけなので少々申し訳なかったですね。

その夜はチェックインした途端、食事もせずに死んだように眠りについたわけですが、結果的に多くの人の優しさに触れられた一日でした。

ローテンブルクの教訓

さて、ここまでダラダラと書いて何が言いたかったかと申しますと

ローテンブルクに行く際は、地名に気を付けましょう。

これに尽きます。

普通間違えませんよね、ごめんなさい。

でも大事なことなので一応もう一度言います。RothenbürgではなくRothenburg ob der Tauberです。

ドイツには似たような地名が複数あるので、ob der Tauber(川沿いの)とか、burg(城壁)とかfurt(河)とかで区別するようですね。

何かの参考にしていただければ幸いです。

おわりに

今回記事を作成するにあたり、他にも同じような人がいるのでは?と検索してみたら…

ローテンビュルク駅で「ここはRothemburg ob der Tauberではありません」という内容の日本語パンフをもらった方を発見!

matome.naver.jp

つまりDEKAE以降も同じ轍を踏んだ日本人が少なからずいらっしゃるということですよね!?

また私が誤って降り立ったHof、オーケストラをも擁する立派な町でございました。ごめんなさいね何もないとか言っちゃって。

www.hofer-symphoniker.de

女子3人組は再度ローテンブルクを目指すと言ってましたがどうなったことやら…

私はおとなしくニュルンベルク観光に切り替えました。つたない英語を鼻で笑われたり、おもちゃ博物館に閉じ込められそうになったり、それはそれで楽しい経験をさせていただきました。

建物にも笑われちゃってます。

おしまい