ニッチでごめんね

A pulp information about lesser-known world

川崎市 岡本太郎美術館で爆発しました【向ケ丘遊園】

こんにちは、DEKAEです。

「芸術は爆発だ!」でおなじみの岡本太郎。

日本を代表する芸術家である彼の作品には全国津々浦々でお目にかかれますが、その作品が一堂に会するミュージアムもあります。

意外なことに、それがあるのは神奈川県川崎市。市内最大の緑地、生田緑地に静かに佇むミュージアムに出かけました。

岡本太郎美術館

岡本太郎美術館が建設されるきっかけとなったのは、彼が80歳のときに所蔵作品の多くを川崎市に寄付したことでした。

お母さんのご実家があった川崎市高津区で産まれたということで、川崎に縁があったのですね。

本人が1996年に死去しますが、1999年には川崎市が多摩区にある生田緑地内に美術館を開館。以後、市立の美術館として地域で愛されています。

彼の作品を一度にかつ大量に観る機会というのは意外と少ないもの。そんなにアクセスが便利な場所でもないですが、美術館好きや外国人の姿も多く見られます。

展示

常設展

こちらがミュージアムの入り口。自然と一体化しており、高台にあるのにトンネルに潜っていくような意匠で設計されています。

そしてこのミュージアム、基本的に「写真撮影・SNSへの投稿ともに可」なのです!

既存のヒエラルキー的芸術観と距離をおき、芸術は人々の暮らしとともにあるべきだという姿勢を崩さなかった太郎の意志を継ぐようで素敵です。

まずは常設展から見てみましょう。展示室へのエントランスは「赤い部屋」と題されていました。

太陽の塔でも象徴的なムッとした顔がすごい好き。彼は「憤怒」を人間の根源的な感情としてことさら重要視していたようです。

作品のみならず、岡本太郎その人について知れる資料が山盛りです。年表の横では彼の残した格言が流れていました。

個人的には、岡本太郎と両親の特殊すぎる関係が非常に興味深かったです。

世間一般から見ると破綻しているとしか思えない家族でありながら、その実けっこうな仲良し家族でうらやむ人も多かったみたい。

とにかく「夫婦」「親子」というものに縛られず、互いの自由を尊重する(ように強要する)関係性だったようです。

メキシコシティのホテルからの委嘱で制作された<豊饒の神話>。このホテルの建設自体がおじゃんになったために、幻の作品となってしまいました。

しかし、これに絡んで訪れたメキシコの地で、市井の人々の生活や「死者の日」のお祭りに触れたことは、彼にとって大きな意味をもったようですね。

しかしまぁ芸術家とはこうあるべしと言わんばかりに多彩な方だったようで、ステンドグラスも手掛けるし…

お茶も点てれば

陶芸もやっちゃうという。

こんな実用品まで残しているんです。

ちなみに、縄文土器というものを世に広く知らしめたのは岡本太郎だったそうです。

その陶芸に人間の根源をみた太郎は、土偶などを撮影した写真を公開。これがセンセーショナルを巻き起こし、以後歴史の教科書に「縄文時代」が登場したーー

と、館内の映像の資料中で故・梅原猛先生がおっしゃってました。

ミニチュアの太陽の塔が回転するコーナー。手(?)の角度が絶妙ですよね〜

いろいろな椅子が展示されているコーナー。

「午後の日」と題されたお面。こういう顔の彫刻を多数残しています。

本人の墓碑もこれ。多摩霊園に、両親と3人で円卓を囲むような形でお墓が並んでいます。

多感な時期をフランスで過ごした彼は自由を強く指向し、誰かの「夫」や「父」となることを生涯拒み続けました。

その一方では、お父さんと後妻さんの娘を「養女」として引き取り、実質上の夫婦となった…いうようなレベチな逸話も残っていますが。

本人の像と、彼が愛したお酒たちが並べられたコーナー。

実物大としたらかなり小柄です。あまりにもインパクトが強くものすごくデカい人というイメージを持っていたので意外。この格好だとちょっと麻○太郎氏に見える…

企画展

ここには大小合わせて300点を超える膨大なコレクションがあるため、常に全作品を展示するわけにはいきません。

逆に言えば、世界中から作品をかき集めずとも所蔵作品の組替えのみで企画展が成立してしまうわけですな。

訪れた日は、「挑む」と題された企画展が開催中でした。

よく見る作品である<重工業>。実物を見たのは初めてで、大きさに圧倒されました。

似たようなテイストでありつつも、急にストリートカルチャー全開でめっちゃ良き。

これなんかどうしちゃったの?というぐらい重苦しい絵。30歳のとき、徴兵される直前あたりの作品だそうです。

肉感的な腕の表現と、女の子の象徴であるデカリボンがアンマッチして奇妙な印象を与えます。

この3点だけ見ても、ピカソ的な表現・ポップアート的表現・(ある意味)写実的な表現と、とても同一人物のものとは思えないですね。

当然のことながら、基礎的な画力は相当なものだったようです。

従軍時代に上官の依頼で手掛けた肖像画もお見事。

しかし、こんなに自由奔放な人が軍隊に駆り出されるとは…想像を絶する苦痛だったことでしょう。

「芸術は爆発だ!」と、ともすればネタっぽく捉えられることも多い岡本太郎。その多様な側面を知れる有意義な展示でした。

鑑賞後は顔はめパネルで遊びましょう。穴の大きさがちょうどよく、クオリティの高い写真が撮りやすいです。笑

屋外展示もありますよー

タイトルは「母の塔」。巨木のたくましさ、母の優しさ、永遠の生命がテーマらしいのですが…わりと恐怖です。

夢に出てきそう

グッズ売り場

こちらの美術館、グッズもなかなか凝ったものが多く楽しめます。

TAROこいのぼり〜!インパクト大!

非売品ながら、本人没後も含むコラボ商品などが展示されています。

アディダスのスニーカー超かわいかった…

前面がマジックシートになっていて、顔のマーカーをぺりぺり付けてアレンジできるみたいです。

太陽の塔のポストカードセットを買いました〜。

左のは、ピンズ収集が趣味の友人へのお土産ですw

カフェテリア TARO

鑑賞の前後にカフェテリアで一服してみてはいかがでしょう。

太郎作品をイメージした椅子はカラフルで、赤ちゃんが喜びそうなカラーリングですね。

本人作品のレプリカも展示してあり、エネルギーに満ち溢れた空間になっています。

ここ限定の「太陽のパルフェ」が気になっていたのですが…小さいパフェにシュークリームが乗っかっているものでした。

てっきり太陽の塔をイメージしたとんでもないパフェがあるのかと思っていたので残念←

今回はランチ利用で。パスタ・プレートメニューがいくつかあります。

オムレツとトマトソースのハンバーグが乗ったプレート(税込1,100円)。

お味と値段については、まぁ美術館ならこんなもんでしょうという感じですが…もうちょいTARO感を出してくれるといいな、と思いますw

支払いは現金のみです。

アクセス・開館時間など

岡本太郎美術館の最寄りは小田急線の向ヶ丘遊園駅。ここから歩いて15分ほどです。

バスも出ていますがあまり本数が多くないのと、生田緑地の入り口までしか行かないため、結局少しは歩く必要があります。

開館時間は9:30~17:00(最終入館は16:30)。

月曜休館ですが、祝日の場合はその翌日が休館日となります。その他、年末年始など臨時休館がありますので、詳細は公式サイトをご確認ください。

入館料は一般が900円、学生と65歳以上は700円。中学生以下はなんと無料です!

なお常設展だけの期間はそれぞれ500円・300円となります。

※支払方法は現金のみ

美術館があるのはまさに緑地の中。天気が良ければ緑地を散策したいですよね〜

おわりに

質・量ともに充実の内容で、見終わった後はとても元気になりました(逆に作品の力が強すぎて元気を吸い取られた感もなくはない)。

少し都心を離れますが、パワーをもらえること間違いなしの美術館です。

関連記事

www.niche-dekae.com

 

おしまい