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シベリア鉄道で国境越え ~ ロシアからモンゴルへ(イルクーツク→ウランバートル)

Сайн байна уу(サェン バェノー)、DEKAEです。

2015年4月、バケツリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)の一つであったシベリア鉄道に乗ることが叶いました…!

ルートはロシア・イルクーツクからモンゴル・ウランバートルまで。2泊3日、時間にして35時間程度の短い乗車でしたが、とても思い出深い列車旅になりました。

冒頭のあいさつはモンゴル語で「こんにちは」です。

シベリア鉄道

概要

シベリア鉄道は ご存知ロシア全土を結ぶ超長距離鉄道。

ロシア国内だけでなく、アジアとヨーロッパとのヒト・モノの行き来を支える最重要インフラです。

西はヨーロッパ各国、東は北京まで路線がつながっていますので、その気になれば中国からイギリスまで鉄道で行くことも可能なんですね。

ロシア横断(モスクワ~ウラジオストク間)に要する日数は7泊8日。

社会主義国のインフラらしい前時代感も相まって、鉄道好き・旅好きの冒険心をくすぐってやまない鉄道の一つですよね。

今回はロシア語が話せる友人との二人旅。ロシアの世界遺産バイカル湖を訪れてから、鉄道でモンゴルに移動します。

死ぬまでに見たい絶景!世界遺産バイカル湖(とバイカルアザラシ)【ロシア】

シベリア鉄道には一等(1人・2人部屋)、二等(4人部屋)、三等(ドミトリー)があります。我々が乗ったのは二等車両。

シベリア鉄道は出会いを楽しむ場でもあると言います。そこであえて4人部屋を選択したのですが、相部屋になった方はおらず…というか春は閑散期のようです。

夏場は早めに予約しておいた方がいいようですね。

切符の手配

出だしから旧社会主義国家・おそロシアの洗礼が待っています。

それは切符を購入しようにも、ロシア国鉄の公式サイトがとにかく使いづらいということ。しかも何となくロシアのサイトにクレジットカード情報とか登録したくない…

事前予約したい際は、アメリカなど他国のサイトを経由するのが無難なようです。オンラインでの切符手配についてはこちらのブログで丁寧に解説されています。

シベリア鉄道の乗車券をネットで予約&購入する方法を徹底解説

駅の窓口で切符を買う

我々は出発の数日前に、イルクーツク駅の窓口で直接購入しました。

しかしまぁ切符売り場も ものすごく分かりにくい。

窓口に行くと「長距離路線は上の階です」と言われ、その「上の階」への階段が見つからない!人に尋ねても みんな違うこと言うし。笑

ようやくたどり着きましたが ま〜時間のかかること。我々の前に二組しかいなかったのに1時間近く待ちました。ここにも おそロシアの洗礼が。

シベリア鉄道に乗車

食事事情

いよいよ念願のシベリア鉄道に乗る時間です。

ロシアからモンゴルに向かう列車には、ロシア側の車両とモンゴル側の車両があります。我々が乗ったのはモンゴル車両でした。

車掌さんたちは中年の女性ばかり。あんまり愛想は良くないのですが、色々世話を焼いてくれるので最終的に母のように感じてきましたw

イルクーツクからウランバートルまでは2泊3日電車に乗りっぱなし。

途中食物にありつけるか分からなかったので、イルクーツク駅の近くにあるスーパーで3日分買い出しして乗り込みました。

ちゃっちいフォークなどは店でもらえますが、トラベル用のカトラリーセットを持ってきた方が何かと快適です。

ワイン等飲む方はオープナー、コップも持参した方がいいでしょう。

一応、軽食の車内販売もあったようです。

路線によってはシベリア鉄道グッズの車内販売もあるらしく期待していましたが、この便にはありませんでした…モンゴル車両だったからかも。

また停車駅ではピロシキなどの売り子が待機しているという情報もありましたが、そういった人たちは見かけませんでした。

改札がないので停車中に駅外に出ることは可能ですが、それもちょっと不安ですしね。

車内の様子

▲ロシア文学にも必ず出てくるサモワール。湯沸かし器ですね。これでカップ麺やお茶にあっつあつのお湯を注ぐことができます。

ところで、当初は三等車両(ドミトリー)にするか否かで迷っていました。

開放式のため、貴重品を所持する旅行者には向かないとのことで結局二等にしたのですが、ちょっとだけ様子を見に行くことに。

出稼ぎ労働者が多く酒盛りが催されることも頻繁だそうですが、覗いたときは夜中。そしてそこに広がっていた光景は――――

…二等にしといて良かった。

水回り事情

シャワーがないので、汗拭きシートと災害用のシャンプーシートを多めに持ってきていました。歯ブラシ等のアメニティも当然ありません。

実際はトイレの横にシャワーが付いてましたが、蛇口をひねっても水が出ず…

ロシアの4月はそこそこ涼しいので、やや潔癖のDEKAEは2泊ならギリギリセーフって感じかな。筋金入りの潔癖症の方は覚悟が必要ですね♪

これ、7泊8日とかノンストップで走破するとどうなっちゃうのでしょうね。

車掌さんに賄賂を渡せば乗務員用のシャワーを使わせてもらえる…なんてまことしやかな噂もありますが。

一部路線ではシャワー付き個室を有する便もあるとのこと。多分、食堂車なんかも付いた豪華な車両なんでしょう。

トイレ

最大の注目ポイントはトイレです!

シベリア鉄道内のおトイレはとても原始的なスタイル。つまり出したら出しっぱなしです。

行為後、足元のボタンを踏むとパカっと蓋が開きます。大地と私が一つになる瞬間…

その時のゴーーーーーーッッッという轟音と吹きすさぶ風はなかなかのもの。

こんな仕組みですので、駅の前後数十kmでは使用禁止になります。何のアナウンスもなく鍵がかけられますので、余裕を持って済ませておきましょう。

各駅への到着時間を事前に確認しておくのがいいですね。

一応紙は備え付けのものがありますが、トイレットペーパーを持っていた方がベター。

質の面でもそうですが、タイミングによっては紙が無いということもありますので…

シベリアのタイガ、そしてモンゴルのステップという雄大な草原に己が一部を残す快感を、あなたも味わってください。

車窓の様子

正面から見た車両はこんな感じ。

そして車窓から見えた風景です。

似たような景色ばかりですよね。でも、ずーっと見ていても全く見飽きることがありません。むしろ2泊じゃ足りないほど。

国境の町ナウシュキにて

響きが『風の谷のナウシカ』っぽくていいでしょー?←

ロシア国内の最後の停車駅です。

ここで降りたらいったん列車がどこかに行ってしまいました。去り行く列車から車掌さんが「戻ってくるから待ってて」とジェスチャーしてきます。

ちょこっと散策。

何にもない田舎ですが、やたらと牛が放し飼いにされていました。

▲談笑する国鉄職員

この写真のИКРА、何と読むでしょう?

ヒント:Иはi、Рはr。

そう、イクラです。イクラはロシア語なんですね。

私、イルクーツクで買ったイクラが国境で没収されるんじゃないかと心配になり(そんなことはない)ここで慌てて完食しました。

同行者に「いらない」と言われたので一人で食べましたよ、ええ。私 尿酸値高いんですけど。

まぁ…普通に美味しいけどちょっとしょっぱかったかな…パンとか欲しい感じでした。

国境越え

今回のシベリア鉄道は、イルクーツクからウランバートルに向かうルート。

しかし当初は、「シベリアの首都」ノボシビルスクに向かい、ライガー(※)を見に行くプランと迷っていました。

※ライオンと虎の間の子で、ノボシビルスク動物園にいるそうです

しかし、島国育ちとしてはやはり陸路で国境越えに魅力を感じてしまうもの。それを体験したいがためにウランバートル行きを選択したわけです。

ナウシュキを出て走ること少々、国境に着くと入国管理官がぞろぞろと乗り込んできます。パスポートはまとめて回収され、押印している間に手荷物検査。

電車に乗ったまま手続きが済むのでラクですね。逃げ場がないのと、パスポートちゃんと返ってくるかが少々不安ですが。

隣りのコンパートメントにいたベトナム人?の青年がシンガポールとの二重国籍者?で、片方のパスポートに不備があった?とかですごい取り調べられてました。

世の中色んな人がいるんだな〜と←

検査を終えて出発するとき、オフィサーが手を振って見送ってくれました。ロシアでそんなことが起こるなんてちょっと衝撃

モンゴル入国

さて二日目の夕刻、モンゴル最初の駅スフバートルに到着しましたよ。

この駅はちょっと荒んでいてビビりました。野良犬や浮浪少年がウロウロしていて。

ここも長く停まるので食堂で簡単な食事をする程度なら可能です。また、車内に両替業者が乗り込んできました。

暗いですが、ゲルが写っているのが見えるでしょうか。

線路沿いの何にもない平野にぽつぽつと遊牧民がいて、あぁここはモンゴルなんだな…と実感。

3日目の早朝、ついにウランバートルに到着。安堵感より寂しさの方が大きかったり…

ロシアとは完全に別世界。陸でつながっているのに面白いですね。

注意:ビザについて

ロシア連邦は日本人渡航者に査証(ビザ)を要求する数少ない国の一つ。

取得のためにはロシア大使館に出向く必要があります。それも、申請と受け取りのために二回も!平日に働いているとかなり困難です。

そこで私は『ロシアビザセンター』に依頼しました。

パスポートを郵送するのでちょっとコワいですが、何の問題もなく手続きしていただけました。手数料はけっこうかかりますけどね…

ところが!

2017年8月より極東ロシアのビザ要件が緩和され、ネット申請による簡易ビザで入国が認められるようになりました

つまり、シベリア鉄道もウラジオストク~ハバロフスクルートなら簡単に乗れちゃうわけです。このルートは1泊(12時間程度)なので比較的気軽かも。

極東ロシアは飛行機で2時間程度で行けるため、「日本から最も近いヨーロッパ」として人気急上昇中だそうですよ。

おわりに

久しぶりにロシア鉄道のサイトを開いてみたのですが、もしやダイヤが変わっている…?

イルクーツク→ウランバートル路線の出発時間が午前8時台になり、1泊2日で到着することになってますね。利用者にとっては少し便利になったのかな?

観光客の身勝手な独り言としては、願わくばシベリア鉄道にはあまりサービス向上しないでいてもらいたいものです…笑

ウランバートルのごはん事情

www.niche-dekae.com

 

おしまい