¡Hola! DEKAEです。
スペイン語を勉強していると「そろそろスペイン語の本を読んでみたいな~」と思うことがあります。
とは言え、いきなりその辺の本を原語で買っても到底読み切れる気がしません。
しかし、日本語で読んだことのある作品なら何となく読めそうじゃありませんか?
実は「小説を日本語とスペイン語の対訳で読みたい」というニッチなニーズに応えてくれる書籍が、少数ながらあるのです!
てなわけで、スペイン語での読書入門におすすめの作品をいくつかご紹介します。
いずれも左側にスペイン語・右側に日本語で本文が書かれており、下部には重要語句も掲載。辞書を引かずとも読み進められる優れものですよ。
- 1.やさしく読めるスペイン語の昔話
- 2.星の王子さま El Principito
- 3.走れメロス Corre Melos
- 4.ドン・キホーテ Don Quijote
- 5.スペイン語のエッセイ
- その他:スペイン現代文学事情
- おわりに
1.やさしく読めるスペイン語の昔話
入門編としておすすめなのがこちら。《赤ずきんちゃん》などの童話をいくつか集めた短編集です。
少しずつ読めるため「なかなか先に進めない」というストレスが少なくすみます。
昔話はどこでも似たような内容ですが、スペインや中南米に伝わる伝承なども収録されていて興味深い。
電子書籍版もあるようですが、スマホで見るとどういう画面になるのかは未知…。
中級者向けの続編も出ています。
2.星の王子さま El Principito
誰もが知っているサン=テグジュペリの名作。
※音声CD付き。
原文はフランス語ですが世界中で読まれており、当然スペイン語と日本語にもなっています。
フラ語とスペ語は比較的似ているので、スペ語で読むことで多少原作の雰囲気に近づけるというメリットもありますね。
原題は《Le Petit Prince》、つまり「小さな王子さま」となっています。これをスペ語では「王子」(Príncipe)に指小辞(-ito)を付けて表現。
「点灯夫」なんて現代社会ではお目にかからない単語も出てきますが、そういうのも含めてどう表すのかな?という楽しみがあります。
それぞれの章の後で重要フレーズなどの解説があり、文法のおさらいや慣用表現の勉強にもグッド。
上の本のほか、「やさしい○○語で読む」シリーズも出ています。
こちらもパラパラめくってみましたけど、通常版とほぼ違いがないような…。
「CDはいらないから少しでも安く買いたい」という方は「やさしい」の方でもいいかもしれません。
で、私今まで《星の王子さま》読んだことなかったんですよね。
三十路手前になってから初めて王子さまに出会ったわけですが、終始 登場人物の言動にイライラし続け、読むのが苦痛で苦痛で…
私ってダメな大人なんだなと思いましたw
3.走れメロス Corre Melos
いや~高校から大学にかけて、太宰治には傾倒していましたよ。
大人になってからはあまり読むこともなくなりましたが、《走れメロス》はほとんど全ての日本人が一度は読んだであろう作品。
こちらも対訳付きで売られています。タイトルはびっくりするくらい直訳ですね。
※MP4データ付き。
この本にはメロスのほかに《誰も知らぬ》という女語りの作品も収録しています。
個人的に、太宰の真骨頂はこの「女語り」にあると思うんですよね、《斜陽》しかり《ヴィヨンの妻》しかり。
が!太宰が乗り移る女性たちの、たおやかでありながら お茶目なところ、これはきっと日本語でしか出せない。
あの匂い立つような色気は、外国人が外国語に翻訳された文章で読んでも掴めないだろうなと感じます。
太宰は女にもてたといいますが、恐らく女心が分かりすぎてしまう人だったんでしょうねぇ。
ハロー!プロジェクトのヲタクをやっている女子が、「つんく♂さん何で私の気持ちが分かるの!?好き!」ってなっちゃうのと同じ感じというか。違うか。
Indigno de ser humano
太宰作品はスペ語圏でもたくさん翻訳されているそう。読書好きのスペイン人なら、高い確率で《Indigno de ser humano》を知っています。
そう、《人間失格》!
これも昔「太宰治、何で私のこと知ってるんだろう?」と思いながら読みふけりました。
内容はほぼ覚えているし(笑)いつかスペ語で読んでみたいと思います。
スペイン人ってラテンで陽気なイメージを持たれがちですが、実際に接してみると意外と悲観的…というか内省的な人が多い気がします。太宰作品との親和性も高いのでしょう。
4.ドン・キホーテ Don Quijote
スペインといったらやっぱりこれ!なセルバンテスの《ドン・キホーテ》。
各国に置かれるスペインの文化センターにその名を冠するなど、今でもスペインの文化的支柱として息づいているといえるでしょう。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサの織りなすドタバタ冒険活劇。
当初はギャグ本として親しまれていたようですが、いつの間にか大仰な文学作品みたいな扱いを受けるようになってしまいました。
こちらは元となる長編小説からいくつかの章を抜粋し、対訳を載せてくれているという素晴らしい一冊です。
ただし古風なスペ語を学習用に書き換えてあるため、原文のままではないという点は要注意。
あとはまぁ、今この時代に読む小説としては特別面白いというわけでもないので…そこを割り切らないと若干辛いかもしれません。
5.スペイン語のエッセイ
これは読んでいないので何とも言えませんが、スペイン北部アストゥリアスの日常を描いたエッセイだそう。
《アストゥリアスの村から小鳥は私に語った》的なタイトルですね。
宣伝によると、スペ語のレベルが三段階に分けられているため、学習のステップアップに有効みたいです。
その他:スペイン現代文学事情
ところで、仮にスペイン語の小説を原語で読めるようになったとして、今スペインで読むべき作家は誰なのでしょう。
これが非常に難問でして…これといった人物がいない、というのが実情のようです。
読書好きなスペイン人に「おすすめの作家は?」と聞いても「Haruki Murakami.」とか言われて、ちげーよ、みたいな。
この点、南米文学は実に豊饒。原文での読書に挑戦したいならば そちらを攻めてみるのがいいかもしれません。
マルケス、ボルヘス、プイグ…と挙げ始めるときりがないですが、最近はチリの女流作家イサベル・アジェンデが気になっております。
興味深いことに、スペイン人ってあんまり南米文学に食指が動かないようです(笑)そして悲しいことに、中南米で読書好きな人に出会ったことがない…。いずれもマルケスの《百年の孤独》は学校で必ず読まされると言ってましたが。
どうやらスペインでは小説家より劇作家の活躍が目立つみたい。
Antonio Buero Vallejo、Alfonso Sastreといった劇作家の名を聞きましたが、いずれもスペイン内戦を主なテーマにしているようです。
おわりに
読書がさかんなことで知られるスペインですが、「対訳」などという便利な本は売っていないそうです。
日本ってすごいですよね、色々な意味で…
とは言え日本でも、英語や中国語のテキストが山ほどあるのに対し、スペイン語はまだ少数。
世界的に見てもHispanohablantes(スペイン語話者)の影響が強まる一方の現代、さらにスペイン語の学習機会が増えるといいですね。
リスニングは歌で慣れてみましょう
おしまい