国内外問わず多くの旅行客を惹きつけてやまない飛騨高山。
古い街並みに温泉、飛騨牛など楽しみはいろいろですが、ことナイトスポットとなると目立った場所がないというイメージがありますよね。
そんな高山の街の一角にある、なんともディープな夜遊び場「半弓道場」。
日本人ならここを見逃す手はありません。
半弓道場
概要
こんにちは、DEKAEです。
2019年夏、ANAの機内誌「翼の王国」にて特集が組まれた飛騨高山。その中で紹介されていた施設のひとつに俄然興味がわきました。
それが半弓道場。高山随一の飲み屋街「一番街」にある、その名の通りの弓道場です。
あまり健康的とはいえない一角に「弓道場」なんて清澄な場所があるとは、いささか唐突な感じがしますよねぇ。しかし、驚くのはそれだけではありません!
なんとこの半弓道場、通常営業しているのは19時から22時までの間のみ。
ツウな地元民たちが一軒目と二軒目の間にほろ酔いで立ち寄るという、まさに大人の遊び場だったのですね。
とはいえこの一番街、一般的な繁華街と比べるとずいぶん小さいですし、人の集まる商店街や古い町並みからも少し外れています。
それでも昔からの常連さんが通い続けているだけでなく、欧米からの観光客にもものすごい人気なのだとか。
国内の観光客の間でも、知る人ぞ知る的スポットとして訪れる人が多いそうです。
打ってみた
2020年の冬、ほぼここに来ることのみを目的として飛騨高山を訪れました。
下戸の私は特に飲み歩くこともなく、ひたすら19時の開場を待つのみ。
が、19時になっても灯りがつかない…。もしやコ○ナの影響で長期休場!?などと考えていましたが、5分ほど遅れて道場主がやってきました。
外で待つのがあまりにも寒かったため、看板も出ていないうちから中に入れてもらいます(笑)
砂が敷き詰められた道場には和紙をかけた的が3つ並んでいます。的までの距離が通常の半分なので、半・弓道場というわけですな。
手前には低めの腰掛が同じく3つ並んでいます。ここに座ったまま矢を射るので想像よりはちょっと楽そう←
通常は10本で700円、もう10本を追加しても300円という良心価格!
平日の昼間は打ち放題1,000円というのをやっていることもあるそうで、お昼なら子供たちも安心して遊べますね。
私が訪れたのは週末の夜でしたが、まだお客さんがまばらだったため特別に打ち放題にしてもらいました。
しかし基本的な動作を習うのに10本、自分なりにコツをつかむのに10本は必要なので、そうしてもらって良かった!
多分初挑戦で10本だけだと、多くの人が不完全燃焼のまま終わるんじゃないでしょうか。笑
私は弓矢に触ったこともありませんでしたし、運動神経については壊滅的です。
それでも全然大丈夫とのことで、道場主が手際よく準備を進めてくださいます。
体格に合った弓と、ちょっとした「ゆがけ」のようなものがレンタル可能。私のような通りすがりでも手ぶらで気軽に伺えるのはいいですね。
矢にも一本一本クセがあるみたい。常連さんになると自分に合った弓矢を選ぶ楽しみもあるようです。
基本の動作を教えてもらうと、注意するポイントがいくつかあります。一つ一つの動きは複雑ではないですが、一度に全部のことを考えるのがなかなか難しい。
しかし、教え方がものすごく丁寧かつ端的なので、私のようなどんくさい人間でも何発か的に当てられました!
「ぱすっ」という音を立てて矢が的を射抜く瞬間はものすごく爽快です。これはクセになっちゃうな~
得点計算もしてくれるので、グループなら次の店のおごりをかけて勝負するなんてのも一興。
右手にはたくさんの板がはめられていますが、これはその年の高得点保有者の名前です。50点以上を取るとここに名前をかけてもらえますよ。
おそらく的のど真ん中を10点として、10本の矢で100点満点でしょう。上位には90点台の方が名を連ねていました。
私がいる間に2組のお客さんが現れました。
一組は一軒目と二軒目の間に立ち寄ったというザ・高山な地元民グループ(笑)。
もうお一方は常連さんのご様子で、ふらりと現れておもむろにすぱすぱ打ち始めました。
ウォーミングアップでもしているのかしらと思いながら見てみると、矢のほとんどが的の真ん中に刺さっているではありませんか…!
道場主が「いや~上達したねぇ!」なんて言いながら得点を数えると、あっさりと2020年のランキング上位に入ってしまいました。
何者?
「どのくらいやられてるんですか?」と尋ねたところ、「ここに通い始めたのが2年前ぐらいですかね~」って…
2年でそんなに上達するもんなの!!
他にも観光中とおぼしき日本人が覗いてはみるものの、中に入ってくる人はいませんでした。
道場主に「よく来たね~」と何度も言われたし、事情を知らない日本人旅行客にとっては意外と入りづらいのかもね。笑
パンデミック騒動で外国人観光客がぱったりと姿を消した高山の街。多分、この半弓道場がこんなに静かなことはほぼ無かったのでしょう。
半ば独占状態でゆっくり矢を引けたのは、不謹慎ながら幸運なことだったのかもしれません。
不思議な道場主
高山の半弓道場が開いたのは昭和4年のこと。以前は日本各地の「夜の街」にあったようですが、当時の施設が今でも残っているのは日本でここだけなのだそう。
「家業で代々やられてるんですか?」と尋ねたところ、道場主のお兄さんが「僕はもともと常連だったんだけど、別の方が代々やってたのを受け継いだんです」とのことでした。
絶滅危惧種だった遊興場を引き継いで昔ながらの趣を留めるだけでなく、観光施設としても賑わう場所に発展させてきたという…並々ならぬ覚悟です。
のみならず、なんとなく勢いのあるお兄さんだな~とぼんやりと思っていた私。
この記事を書くにあたりいろいろ調べてみたら、実は「世界一周を志す者で知らぬ者はいない」というすごい人でした!
おわりに
江戸時代の古い町並みを残す高山にある、昭和の遊び場・半弓道場。
長い時間の流れを見守りつつ社交場としての役割も果たしてきたこの場所には、なんともいえない居心地の良さがあります。
まぁ、普段使わない身体の部位を使ったために翌日上半身がすっごい痛くなりましたが←
ところで先日初めて成田山に行ったのですが、新勝寺の参道にも半弓道場があって驚きましたた。こちらは2019年にオープンしたようですね。
何の気負いもなく遊べるし、老若男女入り混じって楽しめる貴重な娯楽施設ですから、あちこちで再興したら面白いのにな~などと感じました。
関連記事
おしまい