こんにちは、DEKAEです。
趣味でスティールパンという楽器をやっていますが、音楽に詳しくない人には「それってどんな音がするの?」とよく聞かれます。
普段の生活の中で何気なく耳にしているはずなのですが、いざ聞かれるとパッと良い例を思いつかない…
というわけで、スティールパンが効果的に使われている楽曲・バンドをまとめてみたいと思います。
なおスティールパンには他にもスチールパン、スチールドラムなどの呼び方がありますが、ここでは私の普段の呼び方である「スティールパン」と表記します。
- Just the Two of Us/Grover Washington Jr.
- Beautiful Boy/John Lennon
- Waiting On You/The Pointer Sisters
- Come Over ft. Stylo G/Clean Bandit
- No Sun/KID FRESINO
- Sakésho
- Panorama
- おわりに
Just the Two of Us/Grover Washington Jr.
まずは私自身が最も衝撃を受けたスティールパンの用い方。
グローヴァー・ワシントンJr.の1980年の楽曲。「クリスタルの恋人たち」という謎の邦題が付いてます。
グローヴァー・ワシントンJr.自身はジャズ・フュージョンのサックス奏者であり、ゲストボーカルを迎えて制作した曲です。
AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンルにあたるでしょうか。
で、この曲の間奏部分に登場するのが、ロバート・グリニッジ独奏によるスティールパン。
それまで私はスティールパンの音色から「海、田舎、素朴」といった印象しか受けたことがなかったのですが、この曲から聞こえてくる音はまるで真逆でした。
ニューヨークの高層ビルから望む夜景を思わせるような(見たことないけど)都会的で洗練された音。
金属的なひんやり感と温もりが共存する不思議な音色、これを最大限生かしてスティールパンという楽器の可能性を拓いた楽曲だと思います。
シングルカットされたものにはこの部分が入っていないので、Winelightというアルバムのバージョンを聴いてみてください。7分以上ありますが…
Beautiful Boy/John Lennon
続いてはこちら。ちょいとヒッピーな一曲です。
ジョンから愛息に宛てた美しい歌詞がついています。それを噛みしめながら聴くと子守唄のようにも思えてきますね。
最初、ラリって美しい子供が見えちゃってる歌…?とか思ってゴメンナサイ。
このホームビデオから作られたMVも何か不穏に見えちゃうんですよね…防犯カメラっぽいというか←
トロピカルな曲調はまさにスティールパンの得意とするところです。
Waiting On You/The Pointer Sisters
ディスコブギーなソウルナンバー。
Pointer Sistersはアメリカ出身の姉妹で、70~80年代に活躍したコーラスグループです。
こちらも1977年の曲なのでもはや「クラシック・ソウル」などと呼ばれる部類ですが、思いがけずスティールパンが活躍。
これがまた良い味出してるんですよね~ゴキゲンなイントロから独特の存在感を放っています。
中間部のソロはもうハッピーです、ただただハッピー。
Come Over ft. Stylo G/Clean Bandit
エレクトロとクラシックのミックスという、特徴的なダンスミュージックを手がけるイギリスのバンド、Clean Bandit。
そのファーストアルバムNew Eyes(2014)に収録された、レゲエ歌手Stylo Gを迎えてのアフロビート風の曲にスティールパンが使われていました。
同アルバム収録のA&Eという楽曲にも登場します。
このMVではドラム担当のルーク(弟)じゃなくキーボード弾きのジャック(兄)がスティールパンを弾いてます。
音源でも本人が弾いてるか分かりませんが…
No Sun/KID FRESINO
ラジオでその存在を知ったKID FRESINO。
埼玉県出身の若手トラックメイカー・ラッパーである彼が2021年1月にリリースしたアルバム20,Stop it.に収録の一曲です。
都会的でありながらどこか土俗的なサウンドを決定づけているのが、マルチミュージシャンの小林うてなが奏でるスティールパンの音色。
インタビューなどを読むと、彼女はスティールパン本来の使い方をすっ飛ばして独学で習得したようです。
独奏楽器としてのスティールパンの可能性と、ラップとの融合という斬新な表現で「おっ」となったのでご紹介。
Sakésho
スティールパンの名手アンディ・ナレルが参加する、フレンチ・カリビアンのジャズプロジェクト(アンディはアメリカ人ですが)。
ピアノ、ベース、ドラムそしてスティールパンの4人編成です。
プロジェクト名はサケショー。意味もなく連呼したくなる名前ですね。
このプロジェクトとしてのアルバムリリースは2枚しかなく、それも最後のリリースが2005年となっています。
ピアノトリオはプレイヤーたちの緊張感が魅力ですが、ここにパンの音色が加わることで、ほっと息を付ける瞬間が生まれます。
天井でシーリングファンというやつが回っているような場所でソファに身を沈めて聴きたい感じです。
サケショーのライブを生で観たことはないのですが、2017年にアンディ・ナレル(ジャケット写真左)が別のカルテットとして来日公演を行った際、サケショーの曲もやってくれました!
このカルテット、ドラムもサケショーの人(同右から2人目)。めっっっちゃ笑顔で叩きまくっており、正直スティールパンよりも印象強めでした。
Panorama
最後に本家本元をご紹介しておきましょう。
Panorama(パノラマ)はスティールパン発祥の地、トリニダード・トバゴで毎年2~3月に行われるカーニバルのクライマックス。ずばりスティールパンオーケストラのコンテストです。
このオーケストラ、大きな編成ですと総勢120名にもなります。120人が大小様々のドラム缶をブッ叩く様はまさに圧巻、もう何の言葉も出ません。
DEKAEがスティールパンを始めたのも、このパノラマの存在を知ってしまったからなのです。
トリニダードにはこのようなオーケストラが無数にあり、パノラマに出演・優勝するために練習に明け暮れています。
ほんとに誰かしら学校や職場に楽器を持ってきている人がいるそうです。で、帰りに練習場(パンヤードと呼んでいる)に向かうわけですね。
2017年優勝オーケストラ、Massy Trinidad All Starsのパフォーマンスをご紹介します。
一応バンドのYouTubeチャンネルに上がっている動画ですが…どうやらファンカム映像をもらったようです。笑
これは元々トリニダード・トバゴのポップスである「ソカ」というジャンルの曲をスティールパンオーケストラ用にアレンジしたもの。
トリニダードにはアレンジャーと呼ばれる編曲者たちがおり、国民から崇拝されています。
パノラマでは彼らがオケ用にアレンジしたソカ曲を披露することがほとんどですね。
ちなみにDEKAEのイチオシは2018・2019年優勝のRenegadesというオーケストラです。
おわりに
さてさて、ひたすら陽気なイメージのスティールパンですが、様々な表情を見せてくれることがお分かりいただけたでしょうか。
この他、『スティールパンとオーケストラのための協奏曲』(2009)なんてクラシック曲もありますよ。
意外にもiTunesで聴けるんですね。この音源で演奏しているリアム・ティーグという人も、かなり有名な現役パン奏者です。
今回ご紹介した曲は全て動画サイトなどで見られるので、気になる方はチェックしてみてください。
ほとんどが公式の動画じゃないのであまり大きな声で言えませんけど…
関連記事
おしまい