Buen día(こんにちは)、DEKAEです。
アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの一等地に「空飛ぶサンドイッチ屋」の異名をとる小さな店があります。
サンドイッチが宙を舞うとは一体どういうことなのか…?
その謎を解き明かしに行ってみました。
Café Paulin
概要
ブエノスアイレスの中心地、ミクロセントロは平日の昼間でも活況。
観光客向けのショッピング施設のほか、役所やオフィスも集う経済エリアです。
そんなミクロセントロを歩いていると、目立たない外観ながら入店待ちの列が途切れない店があることに気づきました。
ここが今回の目的地、Café Paulinです。
入口で店内利用か持ち帰りか尋ねられました。「中で」と答えると、お好きな席にどうぞ~と通されます。
中に入って驚くのが店の形状!まさにウナギの寝床という言葉がぴったりの細長い店内です。
木とガラスで作られたカウンターが左右奥のほうまで伸びており、店内飲食の場合はこのカウンター席に座ります。
イスと壁の間の通路もまぁ狭く、人ひとり通るのがやっとです。壁一面は鏡になっており、摩訶不思議な空間に迷い込んだ気分に。
コートなどは入口付近にまとめてかけられるようになっていました。
ヨタヨタと歩いて席につくとメニューを渡され、カウンター内の店員さんにオーダーを伝えます。
なんと!カウンターの上部が「パイプ電話」になっており、それを通じて厨房にオーダーを通していました。
店が狭すぎていちいち厨房まで行ってられないんですね…これは興味深い。
そうやって自分のサンドイッチが届くのを待つ間、「空飛ぶサンドイッチ」の正体を目の当たりにすることとなりました。
店内を従業員が自由に動けないため、厨房からサンドイッチの皿を投げ飛ばすのです!!
上の写真だととても分かりづらいですが、奥のおじさん(店主?)が今まさに皿を放ろうとしているところ。
カウンターの先に小さな鐘があり、左手でこれを鳴らしています。
これが合図で、ガラスのテーブルの上をすべらせるようにして皿を投げます。
上の写真は投げた瞬間です。あまりにも投げた直後すぎて皿が移動している感が伝わりませんけれども…
もちろん、回転ずしのように注文した本人の前に届くわけではありません(笑)
放られた皿は最終的にカウンター内の従業員が客に手渡すので、はじめから運べばよかったんじゃ感は否めないのですが…
何度投げても美しい直線軌道を描く投皿技術(?)はまさに職人技。
おびただしい注文をさばき、無数に飛んでくるサンドイッチを眺めるのが一種のエンターテインメントになっています。
観光客と思しき人々はカメラを向け、にこにこしながら動画撮影に励んでいました。
忙しい時間帯にもかかわらず、従業員もノリノリで楽しいです。
飛んできたサンドイッチ
そうこうしているうちに、私が注文したサンドイッチも飛んできました。
この店で一番古くからあるメニュー、Tostado Mixto(トスタード・ミクスト)。「1988年生まれ」とメニューに記載されていました。
トーストしたパンにハムとチーズを挟んだシンプルなサンドイッチです。
パンは食パン的なもので日本人にもなじみ深い感じがしますが、とにかく量が多い…
このままだと飽きてしまうので途中でケチャップをもらいました。
ブエノスアイレスの飲食店全般、比較的薄味な印象があります。隣の方は塩をもらって自分で味付けしていました。
飛んできたまましばらく放置されていた誰かのサンドイッチ(笑)肉やら何やらを挟んだパンとポテトのコンボです。
これなんかはもう大きすぎて見るのもイヤって感じ…ポテトなんてジャガイモ何個分でしょうか?
なお、アルコールは置いていませんが、各種炭酸飲料やジュース類があります。
スムージーやパフェグラスに入った「フラペチーノ」などもありますが、さすがに飲み物は投げませんのでご安心ください。
Café Paulin
〔住所〕Sarmiento 635, C1041 AAM, Cdad. Autónoma de Buenos Aires
〔営業時間〕8:00~20:00 土・日定休
飛んでくるサンドイッチの勢いを最大限味わうには、入って右側の席がおすすめです。
おわりに
地元に根差した小さな店ながら、店舗の形状が特有のルールを生み、それを面白がる観光客が大挙する…
店の様相はSNSが普及する前とは一変したのではないでしょうか。
しかし、熟練のオペレーションの前にはそんな心配もご無用。
今日もお腹を空かせた人々のために無数のサンドイッチが空を舞います。
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おしまい