¡Hola! DEKAEです。
横浜市の鶴見南部は、沖縄と南米から移住してきた人が多く暮らしていることで知られています。
そんな事情で、この辺りでは沖縄料理店や南米料理店をちらほら見かけることになるのですが…
その中に、日本でも珍しいボリビア料理を提供する店があります。なお面白いことに、そこは沖縄料理店でもあるというではありませんか!
ある夏の日曜日、唯一無二の個性を放つ居酒屋に潜入してみました。
鶴見/エル・ボスケ El Bosque
概要
各線鶴見駅を出て南方向に歩くこと15分ほど、潮風大通り沿いにそのお店El Bosque(エル・ボスケ)はあります。
Google Mapでは店名の前に「沖縄料理×中南米料理」の文字が。さらにジャンルは「ラテン系多国籍料理店」とされており、好奇心が膨らみます。
こちらの女将さんは、沖縄生まれボリビア育ちという異色の経歴の持ち主。
彼女が以前のオーナーから店を譲り受ける形で経営を引き継いだそうです。
エル・ボスケがいつオープンしたのか分かりませんが、かなり長いことこの地に根を張っていると見て間違いなさそう。
入るまではビビっていたのですが、女将さんのまったり感が半端なく、秒でくつろげました←
シェフのお姿は見かけませんでしたが、女将さんの旦那さん(ボリビア人)が厨房担当らしいです。
中の様子はこんな感じ。
全体にウッディ調で、昔懐かしの喫茶店といった趣。棚いっぱいに並べてある漫画もその印象を強めています。
テレビからは演歌とラテンとテイラー・スイフトが入れ替わり立ち替わり流れるという、なかなかのカオスです。
飲み物
さっそくメニューを見てみましょう。
表紙も何もなく、いきなり沖縄感全開の写真ですっかり南国の居酒屋気分。
まずは飲み物を注文します。
沖縄料理屋というだけあり、泡盛やオリオンビールがばっちりラインナップ!
珍しいボリビアビール「パセーニャ」は、事実上の首都ラパスで製造されるビールです。コ○ナの影響か、しばらく入荷してないようですが。
しかし「外来酒」というネーミングがすばらしいですね。
ノンアル派にもうれしい、沖縄と南米のソフトドリンクも充実しています。
中でも、ボリビアといえば的な飲み物がこちらです。
見た目も名前も衝撃的なモコチンチ。
小さな桃を煮込み、黒砂糖とシナモンで味付けした甘~いジュースですが、暑い時期には特に身体にしみわたります。
グラス(外税350円)とジョッキ(390円)があります。こちらは見ての通りのジョッキ。
料理
食事は何にしようかな~と思ったら、選択肢が多すぎて大パニック!
うーむ、間違いなく美味しい沖縄的おつまみの数々…
ボリビア料理のことだけ考えてきましたが、こうソーキそばなんかのメニューを見せられると食べたくなってきてしまいます。
あッ大好きなふーちゃんぷるーまであるではないか
そして、メニュー後半がボリビアコーナーです。
牛肉とジャガイモと豆…南米の王道材料を用いた料理が並びます。
鶴見にはペルー人やブラジル人が多いということもあり、彼らになじみ深い料理も置いているようです。
デザートメニューも気になりますが、ほとんどが要予約。一見さん&飛び込みでは出会えない味もたくさん眠っていそうです。
こう無造作に沖縄料理と南米料理が並んでいるのなんて理想的ですね。
うーん、どれも捨てがたい。沖縄とボリビアのメニューを行ったり来たりで一向に決められません。
そんな中、「サマーメニュー」というコーナーをぼんやり眺めていたら…
「ゴ~ヤとアボガドのすみそ味サラダ」なるミックスカルチャー全開の前菜を発見っ!
注文してみました(580円)。
ん~夏に沁みる味…。
食べているところに、「お好みでどうぞ」と紫玉ねぎスライスも出して頂きました。
シャキシャキ食感がプラスされて尚よき。
「シーズンオフは+100円」と注意書きがありますが、シーズンがいつを指すのかは謎です。
メインはボリビア料理からチョイスしました。
アヒ・デ・パンサ(Aji de Panza)。
これはボリビア料理として紹介されていたので注文。辛みのあるハチノスの煮込みです。単品もありますが、ライスとサラダ付きのセットで1,380円でした。
ベースの味はウコンかなぁ…ちょっと材料が想像できないマイルドな味わいです。注文時「辛いの大丈夫ですか?」と聞かれましたが、個人的には辛さはほぼ感じず。
サルテーニャ
食事も終盤に差しかかった頃、「サルテーニャを焼きますけど召し上がります?」とお声がかかりました。
サルテーニャ(Salteña)とはボリビアの国民食ともいえるパイ包み焼きで、見た目は大きな餃子といった雰囲気。
現地の街角でスナックとして売られており、大人から子供まで大好きなソウルフードなのです。
生地を練ったりオーブンで焼いたりが手間なので、通常エル・ボスケでは土日のみの提供。
さらに、この日はコ○ナの影響でお客さんが少ない時期だったこともあり、予約しないとありつけなかったのですが…
なんと、もう一組お店にいたファミリーが持ち帰り用に注文していたらしく、ついでに焼いてもらうことができたのです!
こちらがそのサルテーニャ(400円)。フォルムも焼き色もすっごい綺麗でうれしい…
生地には鶏卵やラードも練りこまれており、南米で一般的な「エンパナーダ」と比べて黄色いのが特徴的。
具材は完全に作り手次第ですが、エル・ボスケのサルテーニャには鶏肉・牛肉を割いたもの、ジャガイモ、ゆで卵が入ってボリュームバツグン。
さらにオリーブとレーズンも入っており、口にした瞬間豊かな香りがいっぱいに広がるのに驚き!
この見た目からは想像できない華やかな味わいに感動を覚えました。これは予約してでもぜひ試してみて頂きたい一品。
ちなみに、パイの中には肉汁があふれています。うかつに噛むと盛大に飛び散るので、特にアツアツを召し上がる際はご注意ください。
エル・ボスケ → 食べログ
営業時間は月~土が17:00~23:00、日曜のみ昼の12:00~14:30も開いてます(夜は17:00~22:00)。
水曜定休です。
鶴見駅からバスで行く場合は、鶴08(川崎鶴見臨港線)または市営バス27系統(安善町行き)に乗って「本町通り四丁目」が最寄です。
おわりに
女将さんによると、以前はこの地区にボリビア料理のお店が数軒はあったようです。
2011年の震災を機に多くのボリビア人が祖国に帰り、今ではボリビア料理店もエル・ボスケだけに。
在日ボリビア人にとっては数少ない憩いの場となっているようです。
南米に住む日系人って、沖縄にルーツを持つ方が驚くほど多いんですよね。
日系ボリビア人の知り合いがいますが、彼の住む町の名前はなんと"Okinawa"。いかに沖縄移民のコミュニティが大きかったかが分かります。
沖縄と南米、トロピカルな気候や人々ののんびりした暮らしぶりにはなんとなく共通点も多そう。
そんな二つの世界のハイブリッド料理は、日本の暑い夏を乗り切るのにもぴったりです。
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おしまい