こんにちは、DEKAEです。
以前、『唐人街探偵 東京MISSION』という映画を鑑賞したときのこと。
舞台が首都圏であるため、多くのロケ地にはなじみがあったのですが…物語の重要なシーンで、異様な場所が登場しました。
もはやそれが日本に実在する場所なのかセットなのかも分からず、帰宅してからすぐに調査。
すると、埼玉県春日部市にある施設で撮影されていたことが分かりました!
その名は首都圏外郭放水路。これはぜひ見てみたいと思っていたところ、なんと一般向けの見学会も実施しているではありませんか!
首都圏外郭放水路
はい、というわけで首都圏外郭放水路にやってまいりました。
埼玉県のこのエリアは河川が多いのですが、昔から雨が降ると浸水被害に悩まされてきたといいます。
そこで生まれた案が地下放水路。河川から溢れそうになった水を地下に逃がし、大きな江戸川に流すという一大プロジェクトです。
5つの中小河川から立坑を通じて地下トンネルに水を流し、「調圧水槽」というプールからポンプを使って江戸川に排水するという仕組み。
平成5年に着工し、平成18年に全区間が完成。すべての川での供用を開始しました。
この施設は年間平均7回ほど稼働していますが、平常時には調圧水槽や立坑の部分を見学可能なのです!
特に調圧水槽は、広大な空間に巨大な柱59本が並ぶという圧巻の光景から「地下神殿」とも呼ばれており、国内外で話題に。
日本が誇るインフラツーリズムの最高峰としてメディアでも紹介され、人気が高まっています。
予約は見学会の特設ページから簡単に行えます。
今回参加したのは、最もベーシックな「地下神殿コース」(1,000円/名)。毎日複数回開催です。
予約の開放日はジャスト一か月前。かなり人気のため、予約開始後すぐに定員が埋まってしまうこともざらだそうです。
見学前日の夜にサイトを見たら午後の回が空いていたためさくっと予約したのですが、当日の受付時には「本日満員」と表示が出ていたのでラッキーでした。
龍Q館
見学会の参加者は施設の管理事務所(通称:龍Q館)に集合します。放水路の見学会に参加する場合は、こちらで10分前までに受付が必要です。
一風変わったネーミングは地域の住民から募ったもの。この地に伝わる龍の伝説と、AQUA(水)からとられたそうです。
参加者の目印となるシールとリーフレット。
記念品のステッカーとカードも頂きました。
奥にはなぜか「落第忍者乱太郎」が貼られています。
記念スタンプはクレヨンしんちゃんで、さすが春日部といったところ。
龍Q館内部は見学自由。操作室の様子も覗けるようになっています。
すっごいテンション上がるわこれっ
このように特徴的な作りのため、数多くの映画でロケ地として使用されているようです。何を隠そう私がここを知ったのも映画きっかけでしたからね。
映画『唐人街探偵』では、「Q」という敵(?)からの命令で「龍Q館」に行く、という場面で登場しました。
中国映画だし、Qの命令だからそういうネーミングなのかと思ったら本当にこの名前でびっくり。
館内ではガイドさんが説明もしてくれます。私が聞いた内容を備忘程度に記しておくと…
放水路の建築でダムひとつ分ほどの費用がかかっていますが、防がれた水害の想定被害額を考えるとすでに十分にペイしているのだとか。
この辺は外環(東京外かく環状道路)の工事で話題になっており、これに伴って流山あたりには物流倉庫がバンバン建っています。
洪水が多かったエリアでこうしたインフラ投資が可能になったのも、この放水路のおかげとのことです。
防災地下神殿
いよいよ地下神殿探検の時間です。
見学会はツアー形式で、出発時刻になるとガイドさんの説明を聞きながら神殿の入口に向かいます。
ここで明かされた衝撃の事実は、神殿の内部の気温が外気温に比べてぐんと低い、ということ。
この日は20℃超えだったためけっこうな薄着だったのに、内部は11℃っていう…まぁ耐えられないレベルではなかったですけど
お集りの皆さんが妙に厚着だと思ってたんですよね←
神殿への入口は龍Q館から200メートルほど歩いたところにあります。ルーブル美術館のピラミッド的入口…
この時点でダンジョン感があって最高です。
100段近い階段を降りてきました。見上げると壮観。
ちなみに帰りはこちらを登ることになりますので、ある程度の体力が必要です。
そして神殿にたどり着くと…
映え〜!
ここが調圧水槽。5つの川から流れてきた水の圧力を調整し、江戸川に送り込む役割を担っています。
見学できるエリアがごく限られており、奥のほうには行かれません。誰もいない風の写真がわりと容易に撮れます。笑
異次元かと思うほどの空間…アクション映画のバトルシーンで使われていても様になりそうです。
神殿内部は想像以上に広大な空間ですが、稼働時には「定常運転水位」のラインギリギリまで水が貯まるそうです。
やはり自然は恐ろしい…そしてそれをコントロールする日本の土木技術といったら、もはやヒトは神になったのかと思ってしまうレベル。
調圧水槽にくっついている第一立坑。
深さ70メートルもあるとのことで、高所恐怖症の私が見下ろすと間違いなく足がすくむことでしょう。
幸い「地下神殿コース」で近寄れるのはここまでが限度です。
3,000円の「立坑コース」では、整備用の通路から立坑の深淵を覗くことができるとか…
しかし!一度これを遠くから見てしまうと、やはり「立坑コース」にも参加してみたくなりました。
天井には、とあるモノを地下神殿内に運び込むための扉があります。
地上から見るとこんな感じ。さて、ここから何を搬入するのでしょう?
そういえば龍Q館に着いたとき、「こんなところにスケボー少年が!」と思って見ていました。
これがまさか、神殿内の「ある現象」の伏線になっていたとは…その秘密は現地で確かめてみてください。
アクセス
自動車でお越しの方が大半かと思いますが、公共交通機関で行く場合は少し歩きます。
最寄り駅は東武アーバンパークラインの南桜井駅。北口から2.3km、歩いておよそ30分で龍Q館に到着します。
一応、南桜井駅前から龍Q館までは春日部市バスが往復していますが、1~2時間に一本程度なので歩いたほうが早いかも…
さらにこのバス、日曜は運休のため注意が必要です。
おわりに
映画の聖地巡礼というミーハー心と、税金の使い道をこの目で確かめねばいう使命感(?)で訪れた首都圏外郭放水路。
最高にかっこいい空間と日本の土木技術のすばらしさの両方に触れられるという、実に満足度の高い時間となりました。
お子様連れはもちろん、「大人の社会科見学」勢も多数参加する地下神殿見学ツアー。
特に首都圏にお住まいの方、一度は参加しておいて損はありませんよ。
関連記事
おしまい