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「自由の国」の歴史と文化――本屋から見るサンフランシスコ

こんにちは、DEKAEです。

文化の薫り漂うサンフランシスコには個性的な書店が複数あります。

各書店の唯一無二のセレクトを通して、この街の歴史や思想まで透けて見えるようです。

思わずジャケ買いしたくなるような本や書店オリジナルの雑貨もユニーク。

外国語の本なんて読まないという方も、覗いてみるだけでもきっと楽しめますよ。

※本文中の情報は2024年1月現在のものです。

1. City Lights Booksellers & Publishers

いわゆるビート文学が好きな方は一度は目にしたことがあるであろう「シティライツ書店」。

ノース・ビーチ(いわゆるリトル・イタリー)の大通り沿いにあります。

ビートカルチャーの聖地であり、私がサンフランシスコに来た目的もこの本屋でした。

店名はチャップリン映画『街の灯』より。そしてPublishersの名からも分かるとおり、出版社としての顔も持っています。

ビート文学作品を次々出版して作家たちを支えるとともに、アメリカにおけるビートカルチャーの中心的役割を担ってきました。

イタリア系移民の花屋だったり写真屋だったりした建物を居抜きで使っています。

思想的には骨太な書店ながら凝ったデザインの内装がたまらんのですよ。

2階へと続く階段の途中、私をここに連れてきてくれた作家ジャック・ケルアックの写真が。

上階には詩とビート文学の棚が並び、まさにこの書店の神髄ともいえる空間です。椅子があるのでその場で読んでいる方もいました。

ケルアックの『オン・ザ・ロード』は日本語訳しか読んだことがなかったので、こちらで英語版を購入しました。ミーハー

以前にケルアック好きの方からおすすめされた『ザ・ダルマ・バムズ』もあわせて購入。読めるのか不明ですが…

地下1階にもアート関係の本、子ども向けの本がたくさん。

ここまで来る客はあまりおらず、静謐な空間に自分も溶けていってしまいそうです。

それにしても、見事なまでに格式高い本しかなく圧倒されます。大好きな不労所得に関する書籍などは一切見つかりませんでした。笑

シティライツ書店では定期的にイベントも開催しています。

こちらは自由なスピーチの会(?)をやっていた金曜日の様子。隣接する美しきバーVesuvio Cafeとの間の路地に人々が集っていました。

こういうイベントの際は、書店内でも外の音声をそのまま流しています。

なんかもう文化的すぎて恐い。

シティライツ書店のトートバッグ。

隣に描かれているのがVesuvio Cafeです。同じ系列なのかな?とにかく深い関係にあるようです。

City Lights Booksellers & Publishers

営業時間:10:00~22:00

定休日:なし

ビート文学がお好きな方は、この近くにあるBeat Museumもぜひ訪れてみてください。

小規模ながら、ビートカルチャーにまつわる豊富な展示は必見。

さらに、なぜか東京の本屋にも詳しいスタッフが親切にいろいろ説明してくれます。笑

2. Dog Eared Books

サンフランシスコで今もっともアツいエリア、バレンシアストリートに構える個性派書店。

日光を嫌う本屋は閉塞的な空間になりがちですが、こちらは適度に窓があり解放的です。

ポップなアイコンとカラフルな内装で訪れるものをわくわくさせます。

この犬がプリントされたトートバッグを買ってしまいました…

いたるところに絵画やオブジェがあり、さながら本も置いているギャラリーの趣。

ここに来るだけで様々なインスピレーションがわいてきそうですね。

およそ書店員とは思えぬヘソ出しのギャルがいるあたり、ただの本屋ではないと思っていたのですが←

ある紳士が所望の本の在処を尋ねたところ、ギャル店員が陳列してある棚まで秒で案内しているのを目撃しました。

しかも結構マニアックそうな本だったので、やはり只者ではない

小さいながらMANGAコーナーも。大半が日本発の作品ですが、びっくりするような値段で売られています。

装丁がカッコよすぎる羅生門。

欧米ではペーパーバックがメインなのかと思っていましたが、凝りに凝った装丁の書籍もたくさんありました。

その分お値段が張りますが…

文房具類も充実。書店オリジナルの絵葉書も多数ありました。

Dog Eared Books

営業時間:10:00~22:00

定休日:なし

3. Booksmith

カウンターカルチャー発祥の地、ハイトストリートにあるのが、Blacksmith(鍛冶屋)をもじった店名の書店です。

かなりガヤガヤしたエリアですが、中に入った途端スッ――と静寂に包まれるのがなんとも心地良い。

さまざまなジャンルの本を追っていくうちに、店の奥へ奥へと入り込んでしまうような作りです。おもちゃ箱のような楽しさがありました。

この店があるハイトストリートからほど近いカストロ地区は、LGBTQのムーブメントが盛り上がった地。

そんな事情もあってか、LGBTQ関連のコーナーが大々的に設けられている点も特徴的です。

店員さんによる手書きポップが味わい深かったです。

他の店もそうですが、おすすめの作品が選んだ店員の名前とコメント付きで紹介されているのが実店舗ならではと感じました。

Booksmith

営業時間:11:00~19:00

定休日:なし

4. Browser Books

サンフランシスコでも一際お上品な地区、フィルモアの書店です。

上の3つは非常に尖っている感がありますが、こちらはいい意味で普通の本屋の雰囲気で安心します。笑

木の棚いっぱいに並べられた本たち。手書きの案内とあいまって、小学校の図書館のような温かみがありました。

Googleの口コミを見ると、「店員さんのアドバイスがすばらしかった」との声がちらほら。

私は日本でも書店員や司書に質問して必要な情報(本)にアクセスするという経験がなく、そういうのには憧れます。

また日本の書店制度ではあまり考えられませんが、セール中の書籍コーナーも人気だそうです。

店内でのんびり読み聞かせ中。

「購入をお願いします」などと無粋なことを言わない懐の深さがアメリカ的です。

雑貨類も充実していました。サンフランシスコ限定のキャンドルはお土産にもよさそう。

Browser Books

営業時間:10:00~20:00

定休日:なし

おわりに

サンフランシスコの書店めぐりで気付くことは、置いている商品のセレクトに店の個性が強く出ているということです。

いわゆる売れ筋や新刊もあるにはありますが、ほんのわずか。出版年を問わず、お店とスタッフが本当に推したい本が目立つように並べられています。

別の書店で見て気になった本がこの店には無い!なんてこともざらですので、一期一会のご縁を大切に買い物を楽しんでくださいね。

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おしまい