こんにちは、DEKAEです。
情熱と哀愁のアルゼンチンタンゴ。発祥の地ブエノスアイレスでは今もタンゴのパフォーマンスやダンスパーティが繰り広げられています。
ところが そのブエノスアイレスに負けず劣らずアルゼンチンタンゴが盛んな地があるのです。
それは何と、ロシア連邦!
この記事では、個人的に今イチオシのモスクワのカルテットSolo Tango Orquestaをご紹介します。
Solo Tango Orquesta(ソロ・タンゴ・オルケスタ)
概要
今回取り上げるSolo Tango Orquestaはバンドネオン、バイオリン、ピアノ、そしてコントラバスからなる極めてトラディショナルなタンゴ・カルテット(四重奏団)。
さりながら彼らはモスクワで結成されたロシア人によるカルテットなのです。
ヨーロッパにおいては、ブエノスアイレスの楽団を除けば世界で最も優れたアンサンブルであるとの評価を得ているとか。
古典的タンゴはもちろんオリジナル曲も演奏しており、その表現からは時に祖国の偉大な音楽家、チャイコフスキーやラフマニノフの影響を感じさせます。
そして私が彼らにハマったのも、まさにこの「ロシアっぽさ」があるからこそ。
特にピアニスト!
「あ、あの、ピアノ壊さないでね…」と心配になるくらい鍵盤を叩いたかと思えば一転、壊れ物を慈しむかのように愛撫してみたり…
この粗暴さと繊細さの混ざり方が ものすごくロシアのピアノ弾きっぽいのです。
てなわけで、彼らの世界観を堪能できる演奏をいくつか引っ張ってきました。
Vals Numero Uno(ワルツ第一番)
まずは優雅なタンゴ・ワルツから2曲。いずれもオリジナル曲です。
これは4人に他のメンバーも加わった"Solo Tango Orquesta Tipica"という別の編成による演奏。
ショパンやリストを彷彿させる流麗なイントロ。続くバンドネオンの調べはミュゼットっぽくもあり、セピア色のセーヌ川の映像が思い浮かびます←
それに絡む泣きのバイオリン、いいわぁ…。駒付近をこすりながらのポルタメントがいかにもタンゴ。
この映像はMoscow House of Musicで開催されたコンサートの模様だそうです。色っぽい…
アップ主のおじさん、頻繁にこういった動画を上げてくれてるんですよ。
中にはブエノスアイレスで開催されるタンゴ世界選手権入賞カップルによるダンスパフォーマンスなんかもあります。
しかしこのおじさんの素性が謎。
Valse de Invierno(冬のワルツ)
こちらもヨーロピアンな薫り漂うワルツ。私この「旋律的短音階」ってやつに弱いんですよね、うん。
全体的にピアノの活躍が目立ちますね。
バンドネオンにオブリガートで絡んだりとか、バイオリンの中低音のメロディで高音域の伴奏に回ったりとか、使い方がめっちゃ素敵。
ぐわ~っと盛り上がって 弱音で終わるのがアルゼンチンタンゴらしくてグッド。
古いタンゴは特に歌が入ると旋律が分かりにくくて聴きづらい…ということが多いんですよね。
対してこの楽団の楽曲はメロディとリズムがはっきりしており、現代的で耳あたりが良いです。
No hay tierra como la mía
最後は私の大好きなタンゴを。作曲家はチャルロという人です。
自身も歌手・演奏家であり、アルゼンチンタンゴ界において最も重要な作曲家のひとり、フランシスコ・カナロと一緒に録音したレコードもあります。
曲名は「私の土地のような場所は他にない」という意味。古風に訳すならば「わが故郷にまさる地なし」ってな感じかな?
ズンッチャ ズッチャという特徴的な2拍子のリズムは「ミロンガ」といいます。
キューバからヨーロッパに伝わったダンスのリズム「ハバネロ」、これが中南米に持ち込まれ再びラテン要素が加わったものがミロンガ。
ミロンガはアルゼンチンタンゴのダンスパーティを指す言葉でもあります。
この『030tango』というチャンネルも様々な動画を上げてくれてます。ベルリン界隈のアルゼンチンタンゴの動きを紹介する目的で設立された組織なんですって~。
中東欧のものも多く、上の動画はポーランドの大会みたいです。
おわりに
彼らの映像を漁るうち、ロシアを始めとした東欧圏ではアルゼンチンタンゴのダンスコンペティションが頻繁に行われていることを知りました。
そしてSolo Tango Orquestaが伴奏を務める大会がけっこう多いんですよね。
でも大会で生演奏って、演奏者もしんどいし何より踊る方は不安にならないのかなぁ?少しテンポが狂っただけでダンスも崩れそうな気が…けっこう不思議です。
本場ブエノスアイレスの若者の間では時代遅れなイメージを持たれているらしいタンゴ。今でも熱心に取り組む人が世界中に沢山いるということ、非常に嬉しく思います。
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おしまい