こんにちは、DEKAEです。
四方を海で囲まれた日本、当然のことながら海運は主要な輸送手段のひとつでした。
交通網が発達した現代においてもその力はまだまだ大きく、特に自家用車ごと海峡を越えられるフェリーの存在はインフラとしても必要不可欠です。
船旅というものが大好きなDEKAE、生活用途だけでなく船旅好きの間でも人気の「太平洋フェリー」に乗船。
北海道から仙台、そして名古屋に至る2泊3日の極楽航海日誌です。
太平洋フェリー
概要
太平洋フェリー株式会社は、名古屋市に拠点を置く日本の海運会社。
名鉄グループの傘下であり、名古屋・仙台・苫小牧を結ぶフェリーの定期航路を運航しています。
名古屋・仙台間は隔日、仙台・苫小牧間は毎日運航。
船旅と聞くと真っ先に豪華客船が思い浮かびますが、こちらは完全に日々の生活に欠かせない移動手段なわけですね。
移動先でも自家用車を使いたい方やトラックドライバーが主要顧客ですが、ツーリング客にも利用されています。
もちろん、車やバイクを持っていない人が通常の移動に使うことも可能。
今回、私も身一つで苫小牧から名古屋までの航海を楽しんでみることにしました。
予約は公式サイトからどうぞ。
船の種類
太平洋フェリーは「きそ」「いしかり」「きたかみ」の3隻を保有。
このうち「きそ」「いしかり」が名古屋・仙台・苫小牧間を往復する船、「きたかみ」は仙台と苫小牧間のみを往復します。
今回私が乗ったのは2011年竣工の3代目「いしかり」。
全長約200メートル・総トン数約16,000トン・最大速力26.50ノットを誇る国内最大級のカーフェリーです。
乗用車100台・旅客777名を収容可能で、もうこの中が一つの町と言っても過言ではありません。
私が乗船していた時間は、2~3メートルの波があり「若干の時化模様」との説明でしたが、揺れはほとんど気になりませんでした。悪天候時はけっこう凄いとの噂
船内設備
船内の様子
今回乗船するのはあくまでカーフェリーだったため、設備やサービス面にはそこまで期待していなかったのですが…
もうエントランスから圧巻!豪華客船かと見紛うような吹き抜けのロビーに胸高鳴りまくりよ。
なんと品の良いしつらえなのでしょう。
共用スペースにある椅子はいずれもゆったり。船舶の揺れとエンジンの振動が心地よく、座るたびに居眠りしてました…
え、これもう完全に豪華客船やん
白と青を基調としたインテリアはエーゲ海から着想を得たそう。リゾート気分を味わえる素敵な空間でした。
部屋
太平洋フェリーは部屋タイプもバラエティ豊か。
個室タイプとして、最上級のスイート→特等→一等と続きます。ホテル並みのアメニティが揃っており、用途に応じてさらに細かな部屋タイプを選べます。
スイート・特等にはバスタブとトイレ、一等にはシャワーとトイレが完備されているほか、テレビも設置。快適なクルージングが約束されています。
当初は「豪華な部屋にしよう!もう大人だもん(震え声)」と思っていたのですが…
考えてみたらテレビはまったく見ないし、風呂は大浴場に入りたいし…で、結果的に下から2番目の等級のB寝台(14,900円)にしました。
B寝台のひとつ上にS寝台というものがあります。違いはテレビの有無と、よりプライベートな空間。
説明が難しいですが、S寝台はブースの配置が飛行機でいうビジネスクラスのようになっており、他の乗客と顔を合わせる機会が減ります。
B寝台は向かいの乗客とコンニチハする可能性大ですが、基本的に向かいにはお連れ様が来るように組んでくれているようです。
おひとり様は奥か手前をあてがわれるパターンが多く、半個室のような状態になっていたので非常に快適でした。
私は一番奥。ベッドから窓も見えるし最高~。
一番下の等級が二等船室。いわゆる雑魚寝部屋です。ただしカーテンで一人一人区切られるようになっていて、最低限のプライバシーは守られます。
ショップ
船内ではショッピングも楽しめるようになっています!
日用品やカップ麺のほか、各地で買い忘れたお土産もこちらで購入可能。
太平洋フェリーオリジナルグッズもデザインが非常にかわいく、ここでしか買えないというレアさもあいまって魅力的です。
廃盤海図から作った封筒とオリジナルのポストカードをゲットしました。
大浴場
すばらしすぎることに、大浴場はほぼ24時間利用可能!!
浴槽・洗い場ともに十分すぎる広さで、ジェットバスも完備!石鹸類も一通りそろっています。混雑もなかったため極楽でしかありませんでした。
窓が曇っていますが、日中なら外の風景とともにバスタイムを過ごせるかも?
インターネット
事前登録により、有料のWi-Fiサービスを使用可能です。
ただ、比較的ずっと沿岸部を走ることもあり、私の端末はほぼずっと電波を拾っていました(ド○モ回線)
残念ながらデジタルデトックスとはいかず。笑
その他
日用品関係としては、給湯室・電子レンジ完備。持ち込んだものやショップで購入したカップ麺などもばっちり食べられます。
コインランドリーも夜中以外使用可能。
ゲームセンター、マッサージチェアーなんかもあり、空き時間に手軽にリラックスできます。
喫煙所もすべてオーシャンビューのところに設置されており、非常に贅沢。
近年迫害がひどい愛煙家の皆様にとっては夢のような空間では。笑
キッズスペースあり。
平時はカラオケルームも自由に使っていいそうです。
「もえるごみ」が「Moerugomi」で外国の人は分かるのかっ?
食事
レストラン
「いしかり」のメインダイニングがレストラン・サントリーニです。店名・内装ともにギリシャイメージですね。
食事は朝・昼・晩ともにバイキング形式。
やはり子供たちが喜ぶのはビュッフェなんかじゃない、「バイキング」こそ頂点なのです。
ディナータイムの料金は大人一名2,100円(税込)。そこそこお値段はしますが、かなり利用者は多かったです。
別料金でビールやワインなんかも頼めますし、大人も十分楽しめるんですよね。
和洋中すべてそろっており、欲張ってすべて取ってしまったので何とも節操のないことに←いつものことです
かつおご飯が一番のヒットでした。
そしてふと横を見ると…
海〜!沈みゆく夕陽を眺めながらの食事なんて最高以外の何物でもない…
さらに、ぼっち席がたくさんあるので一人でも気兼ねなく利用できるのがグッドでした。
スイートに宿泊すると自動的に席が確保されています。その他個室でも、朝食・夕食のバイキングがセットになったお得なプランあり。
こちらは朝食メニュー。痛恨のミスプリ…
スタンド
毎回レストランは疲れるし、カップ麺やコンビニ弁当だけでは味気ない…というときにぴったりなのがヨットクラブです。
カフェスタンドとして機能しており、コーヒーやお酒などドリンク類を注文できるほか、ちょっとした食事メニューも充実。
お子様にはソフトクリームも人気です。
仙台港出発時のランチは船のまかないカレー。太平洋フェリー伝統の味だそうです。ブイヨンの香りをしっかり感じて美味でした。
モーニングには名古屋コーチンの卵を使ったTKGもあり、人気のようでした。
ドリンクは原則カップ・グラスでの提供ですが、テイクアウトカップに入れてもらうことも可能です。
窓に面したカウンターには電源もありますよ。
ちなみに、お茶や水・お湯はセルフサービス。24時間いつでも使えるのでめちゃくちゃありがたかったです。
イベント
客船ではないにもかかわらず、長い航海の退屈を紛らわすエンターテインメントも提供してくれる太平洋フェリー。
ラウンジのミコノス、やっぱりギリシャなネーミングです。
本来はここで毎夜ショーがあるそうですが、私が乗船したときはコ○ナの影響で映画上映のみでした。
好みの映画をやっているかは運しだいですが(笑)トム・ハンクスの映画だけ観ました。
スクリーンの大きさはそれなりですが、音響がなかなか良かったです。
持ち込みもOKらしく、ヨットクラブで買ったソフトクリームを食べながら鑑賞している人も。
コ○ナ以前はロビーラウンジでのピアノ演奏もあったみたい。
いっちょ私の腕前を披露しちゃろうかと思いましたが、「お手を触れないでください」と書かれていました。
各港の様子
苫小牧西港
ここからは、停泊する各港の様子をちょっとだけご紹介。
苫小牧から出発する場合、東と西のふたつの港があるので要注意。太平洋フェリーは市街地に近い「西港」から出航です。
札幌在住の友人が送ってくれたのですが、札幌駅から直行バスも出ています。
わりと新しいようで、すこぶるきれいなターミナル。
見送りの方は90分間駐車無料です。
受付の様子。
最後の旅支度はこちらのキオスクで。酔い止め薬があったかはちゃんと見てません…
薬事法の関係で、「いしかり」では酔い止め薬を売ってないため不安な方は事前に購入しておくといいでしょう。
出発口付近には喫茶コーナーもあり。名物ホッキカレーを食べてから出発するのもいいかもしれません。
TEAM NACKSの顔ハメ。
さらに上の階には港を見渡せるデッキのほか、ちょっとした展示スペースもあります。
今回乗った「いしかり」の全体像。
床は航空写真になっており、北海道出身の友人も興味深く見ておりました。
ところで、友人が「苫小牧といえば味の大王」だと言うので、そちらで出航前の腹ごしらえ。
ここのカレーラーメンとホッキカレーは「港湾関係者の食い物」という感じがムンムンのご当地グルメです。
港から歩ける距離ではないですが、足のある方はぜひ。
仙台港
苫小牧からおよそ15時間で到着する仙台港。小ぢんまりとしたターミナルでした。
中にはちょっとしたお土産コーナーや喫茶スペースがあります。
こちらで2時間ほど泊まるため一時下船が可能ですが、仙台港があるのは仙台市のはずれ。市街地までは最短でも40分かかるので、停泊中に往復するのはほぼ不可能です。
車で一時下船するなら、塩竈あたりまでは行けるかもしれません。
歩いて15分ほどのところに三井アウトレットパークがあったので、ここでずんだシェイクだけ飲んどきましたw
さらにフェリーふ頭に近い仙台港中央公園も散歩におすすめ。
見晴らしがよく、泊まっている「いしかり」も見えました。
名古屋フェリーふ頭
伊勢湾に入ってからも1時間以上航海が続きます。
中部国際空港や神島(三島由紀夫「潮騒」の舞台になった)を通り過ぎ、そのつどアナウンスで知らせてくれますよ。
仙台からおよそ21時間半かけてたどり着く名古屋港。こちらも小ぢんまりとしています。
名古屋港に着くのかと思っていたら、フェリーふ頭は違う場所でした。バスで「野跡駅」まで移動し、そこからあおなみ線で名古屋駅まで移動します。
おわりに
太平洋フェリーの乗組員は気配りが行き届いており、船内設備も至極快適。カーフェリーでありながら豪華客船に乗っているかのような優雅な気分に浸れました。
それだけでなくしみじみと感じたのが、船にまつわる仕事の多様さです。
水先案内人、はしけ係、清掃人…港に着くたびにたくさんの人が慌ただしく作業するのを見て、これだけの規模の船が動けば、おびただしい数の仕事人が動くということを改めて実感。
やはり海洋国家って良いよね!←
客船にも憧れますよね
おしまい