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旦過うどんに北九州の人情が宿る【小倉】

こんにちは、DEKAEです。

山口県の端っこで生まれ育った私が若かりしころに遊びに行くところは、もっぱら北九州の小倉でした。

その小倉にむか~しからある市場に、客足の途切れない名物うどん屋があります。

旦過市場

北九州市小倉北区に旦過市場(たんがいちば)が開業したのは大正初期のこと。

これまで100年以上にわたり、北九州市民の台所として愛されてきました。

薄暗いアーケードに100以上の店が軒を連ねる長屋式の市場は、今では日本で見かけることがほとんどありません。

どこかアジアのカオスを思わせる雰囲気が市外の観光客をも引き付けています。

しかし、その名を一躍有名にしたのが令和の大規模火災でしょう。

旦過市場はこれまで何度も火災や浸水被害に遭ってきており、かねてから安全性が指摘されてきました。

大規模な再開発計画が進んでいた最中に起きたのが、2022年4月・8月の二度にわたって発生した火災。

その被害は甚大で、かねてからの懸念が最悪の形で具現化してしまったのです。全国的にも大々的に報じられたため、ご記憶の方も多いことと思います。

けが人等なかったのが不幸中の幸いではありましたが…

こちらは市場の案内マップですが、右下あたりの一角は完全に焼け落ち、撤去作業が行われました。

名物だった名画座もなくなり、北九州のローカルニュースなどでは繰り返し報道されたようです。

火災の事後処理が落ち着いてから訪れた際の様子です。

左側が地図の右下にあたるエリアでしたが、完全にシートで覆われた状態になっていました。

このように一部は変わり果てた姿となった旦過市場ですが、この地で商いを行ってきた人々の情熱は消えることなく…

火災後、被害を免れたお店はすぐに営業を再開。

焼失した店舗のために場所を貸したり、市民も足しげく通ってお店の方に声をかけたりと、市場の賑わいを取り戻すまでに時間はかかりませんでした。

この火災が、はからずも北九州市民の温かい人柄を再確認するきっかけになったのです。

旦過うどん

そんな旦過市場の賑わいを語るうえで欠かせないのがこちら。

通りがかれば必ず足を止めてしまう、「旦過うどん」ののれんです。

こちらは火災のあったエリアとは真逆に位置していたため、比較的早くから営業を再開できました。

高校生のころ、大人になったらここでうどんとおでんを食べたい!と思っていたものです。

と言ってもここではお酒を提供しているわけでもなく、別に普通に入れたんですけどね…

いずれにしてももういい大人になったので、念願叶ったり。少々特別な思いで訪れました。

店内はけっこう狭いです。カウンター4席程度に、ぎゅっと詰めて4人掛けのテーブルが2卓。

基本的に回転は速いので、お店の方に声をかけて外で待つお客さんも多いです。

店先でおでんがコトコト煮込まれております。

持ち帰りする地元民も次から次へとやってきます。ビニール袋にがさっと入れて渡される様は、アジアの屋台のようで一種の心地よささえ感じる。

店内でいただいたおでん(160~180円)。

何があるのかよく分からないので、店頭で欲しい種を指名してすくってもらいました。

シェアできるよう切ってくれてます。取り皿にまでだしを入れてくれるお気遣いに感謝です。

イチオシの種は餃子。はて、餃子がどこにいるの?と思われるかもしれませんが…

一番上のがそうなんです!なんと餃子が天ぷらになっているんですねぇ。

※西日本では練り物の揚げたものを「天ぷら」と呼ぶ

断面はこのようになっています。

練り物部分が厚くて餃子の皮の存在感は薄れてしまってますが(笑)中まで出汁がしみてうんまい。

北九州、というか福岡に来たらこれを食わぬわけにはいくまい。肉ごぼう天うどん(税込600円)です。

私はこのやわやわうどんで育ったものですから、東京に住んでいると讃岐うどん風のシコシコ麺ばかりで少々寂しいのです。

そして安心するだしの色…。東京で初めてうどんを食べたときは、その真っ黒なスープに仰天したという西日本人あるある

こちらの唐辛子の瓶詰は棚に大量に並んでいたので、販売しているのかも。

こちらも外せない焼きちゃんぽん(720円)。ちゃんぽん・皿うどんとならんで旦過うどんで一番高価なメニューです。

それも納得のボリューム。肉・野菜・かまぼこなど、具材が惜しみなく投入されています。

「焼き」というのが何とも珍しく、この辺りでも出す店はあまりないんじゃないでしょうか。海苔がかかって焼きそば風。

お持ち帰りも可です。

ぬか炊き定食(670円)。

魚のぬか味噌煮、ご飯と味噌汁、小鉢が3品ついてこのお値段!まさに北九州の台所、庶民の味方です。

この日は小鉢が一つ準備できていなかったため、おでんを一品おまけして頂きました。

こういう風に機転をきかせてくれるのも、古くからある市場の食堂という感じで温かみがあるんですよね。

この「ぬか炊き」というもの、小倉名物でありながら私はずっと知らず…この日初めて食べました。

イワシやアジなど味噌煮にすることは多いですが、小倉では糠みそを使います。これに山椒も加えて、特有のにおいはほぼ消えています。

小さな魚なので骨まできれいに食べられました。

旦過うどん → 食べログ

営業時間は11:00~18:30。日祝定休です。

土曜の11時過ぎに行くとすでに満席!回転は速めですが、酒持ち込みで飲んでいるおとっつぁんたちがいると少々時間がかかるかも…笑

おわりに

北九州市民が自然に一丸となり、守ろうとしている旦過市場の営み。その一部である旦過うどんが、今日も市民のお腹を満たしています。

うどんのみならず、おでんや北九州の郷土料理が待っています。

古き良き時代を感じたくなったら、ぜひのれんをくぐってみてください。

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おしまい