¡Hola! DEKAEです。
以前にもこのブログで紹介したベネズエラのロックバンド、Los Mesoneros。
ちょっと最近のベネズエラ音楽でも聴いてってくださいよ【歌で勉強するスペイン語】
そのフロントマンLuis Jiménezが、2019年に新しいプロジェクトLAGOSでの活動を開始しています。
最近ハマって聴きまくっている私ですが、歌詞を通じて接続詞「si」の紛らわしい用法をいくつか覚えられました。
楽曲紹介がてら、面白い慣用表現を見てみましょう。
LAGOS
さて、このLAGOSは前述のLuis Jiménezと、プロデューサー兼マルチプレイヤーのMr. A On The Beat(すごい名前ですね)による2人組ユニット。
ゆったり踊れる横揺れ系のアーバン・ミュージックで、主にインディーシーンで活動している模様です。
ちなみにこの「アーバン」という呼称、アメリカ合衆国では廃止しようという動きが2020年に起こっています。これまた面倒な「ポリコレ」により…
まぁラテン圏には今のところ「Música Urbana」という括りが残っているので、そのままで問題ないでしょう。
さらに全然どうでもいい話ですが、ボーカルのLuis Jiménezという人、基本的に自分のことをイケてると思ってそうなタイプで、ラティーノにしてはスカした感じなのが特徴。
彼、なんとなく顔の造作とか背丈とかが私の友人のスペイン人に似ているんですね。
この友人はまったくイケイケキャラではないので、Luisがアイドルっぽいキメ顔をするたびに笑っちゃう…
ま、そういう意味では相方のMr. Aもあまりラティーノっぽくないですね、On The Beatとか言っちゃってるぐらいだし…
En Línea(2019)
条件のsi
LAGOSとして最初に発表したEPがPRIMAVOLTA(2020)。「初めて」という意味のイタリア語prima voltaをあてているようです。
5つの楽曲が収録されていますが、今回は4番目のEn Líneaに注目。
爽やかなのに切ない曲調ですね。レゲトンのリズムですが、ギターとベースがさりげなくファンクなのがツボ。柔らかいホーンの音も郷愁を誘います。
60~70年代のUSAを意識したMVも好み!
さて、スペイン語のsiには英語のifと同じように、「もし」「~かどうか」の二通りの使い方があります。
ブリッジ部分(MVの2:40あたりから)の歌詞を見てみましょう。
dime si de cuando en cuando tú ves si estoy en línea
はじめのsiは「もし」。その後の文を受けて、「もし~ならそう言ってよ」と呼びかけていますね。
ふたつめのsiが「~かどうか」。便宜上直訳すると「俺がオンラインかどうか」となります。
これらを合体させると<教えてよ 俺がオンラインになってないか たまに気にしてくれてるなら>のような文章が完成です。
ここでは、跳ねるリズムに乗ったde cuando en cuandoが心地良い。「ときどき」を意味する熟語なので、あわせて覚えちゃいましょう。
a ver si
そして、この曲中に何度も登場するのが「a ver si」。
後に続く文章の内容を期待しつつ、希望・不安・懇願が入り混じったように聞こえる表現です。
A ver si estás en línea
サビはこのフレーズに始まり、このフレーズに終わります。
もうずっと連絡を取っていない相手に電話しようして、「つながるかなぁ、つながるといいな、つながってくれよ…」と、だんだん心がかき乱されていく感じでしょうか。
a ver siはEPの他の楽曲にもめっちゃ出てくるので、彼らの好きな言い回しなのかもしれません。
日常会話で登場頻度が高く、そのわりに自分で話そうとするとパッと出てこない表現。覚えておくと便利そうです。
Primavoltaは全曲とてもカッチョいいので、ぜひ聴いてみてください。
Si El Mundo Se Acabara(2020)
Como si+接続法過去
続いてはPrimavoltaの後に発表されたシングルです。
こういうジャミロクワイ的なコード運びが大好物なのですよ。突如英語のフレーズが入ってくるところとか若干K-POPみもありますけど…
タイトルを見て<もしも世界が終わるなら>かと思いましたが、サビの歌詞を読んでみると…
Como si este mundo se acabara
実は全く異なる用法でした。
Como si+接続法過去で「まるで~であるかのように」という構文を作るので、ここは<まるで世界が終わるかのように>と訳せますね。
これ、Si+接続法過去の後に条件法(過去未来)の文章が続くと「もし~だったら○○するのに」という意味になってしまいます。
タイトルだけ見るとそう読めてしまうので、ちょっと紛らわしい…
MVはブレードランナー的な世界観ですが、意外と歌詞は簡単な単語ばかりで理解しやすいです。
ボーカルにはベネズエラの新星Jambeneをフィーチャー。
この大人っぽい楽曲にはJambene君が若すぎるんで、彼がオジサンになったときの表現が楽しみですね←誰目線?
おわりに
ベネズエラという国…貧困層は食べる物も満足に買えないなど、暮らすにはハードすぎる状況が続いています。
政治も相変わらず不安定で、残念ながらベネズエラ出身のスターミュージシャンの多くはアメリカ合衆国などに拠点を置いている模様。
活動の拠点をメキシコ市に置くLAGOSも例外ではありません。それでも音楽産業がさかんなベネズエラ、ますます不思議な国…。
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おしまい