¡Hola! DEKAEです。
突然ですが、この曲を聴いたことがおありでしょうか。
イギリスのプロデューサーNaughty Boyが、Sam Smithをボーカルに迎えて制作した楽曲La la la(2013)です。
私、このMVを一度見たときから「あ、いつか絶対ここに行く」と決めていました。
そして2019年のゴールデンウイーク、6年越しでこのMVのロケ地巡礼が実現。
その全貌をご紹介いたします。
オズの魔法使いとボリビアの伝承
さてこの曲のMV、全編 南米のボリビア多民族国という国で撮影されています。
ストーリーの軸となるのは①オズの魔法使いと②ボリビアの口承伝説。
①少年が犬(ライオン)、セメント男(ブリキの木こり)、異形の者?(かかし)を仲間にしながら冒険する物語
②人を癒す特別な「歌声」を持つ聾の少年が、荒ぶる悪魔を鎮める物語
※多分に暗喩が含まれるため、必ずしもこれらの解釈が適切とは限りません。
巡礼のバイブルとしたのはCNNによる監督へのインタビュー記事。
これを頼りにおおよそのエリアの見当をつけ、通りの形などを参考にしながら撮影場所を探っていきました。
ええ、そりゃもうアカデミー賞ノミネート映画『LION』(2016)並みにGoogle Mapを駆使しましたよ
ラパス La Paz
犬(ホテル、街路)
冒頭の虐待シーンは旧市街ハビエル・プラド付近のホテルで撮影されたとのこと。
そのホテルが特定できなかったのですが…駆け出していく夜の道は『7月16日通り』で間違いなさそう。
チャウチャウが待つこの街灯とか
地面のパターンが特徴的ですよね。
ハビエル・プラドは地元民・観光客どちらにとっても憩いの場になっていて、人通りが多いです。
切り替わってMVは昼間のシーンへ。
MVでは赤い『INTERNET』の看板が目印でしたが、それはもう見当たりませんでした。
けれど、奥の建物の色でこの辺りだと特定できます。
ここは新市街のオブラヘスというエリア。
Mi Teleférico(ロープウェイ)の緑の路線、Aynacha Obrajesという駅を降りて坂を下ればこの通りに出ます。
このロープウェイ、撮影時はまだ開通してないんですけどね。
セメント男(エアロビクス)
マッチョな看板が目印のエアロビジム。
看板はないですが、外壁の色と落書き・隣の石垣の感じから、恐らくこの建物でしょう。
『INTERNET』の看板があったと思われる場所からは目と鼻の先です。
中は覗いてないですが…MVを見ると、セメント男の後ろにチョリータ・レスリングのポスターが貼ってあります。これはラパスで有名な観光アクティビティである、先住民族のおばちゃん達によるプロレス。
かかし(大通り)
続いては、かかしが交通整理している大通り。
この人物は、何らかの理由で「異形」であるために世間から疎まれている者の暗喩だという見解があります。ボリビアの伝承にそういった人物が登場するのかもしれません。
非常に交通量の多いT字路です。
心臓を売る男が立っているのはこのフェンスの脇でしょうか。
エアロビのジムを正面に見て、左に進んでいくと ここに行き当たります。
まぁ通常の観光ではまず立ち寄らないエリアですがw
ウユニ Uyuni
間奏あたりで一行が歩いているのが、ウユニという町にある『列車の墓』。
広大な塩湖で有名なこの町。
その昔、ここで精製された塩を遠くチリまで運ぶために鉄道が敷かれました。
列車も線路も打ち棄てられて異様な光景ですが、現在はウユニ塩湖を訪れる際に必ず立ち寄る観光スポットとなっています。
一行は、この途方もなく続く線路沿いを歩いていきます。
そして現れるのがウユニ塩湖。
写真では見づらいですが、きれいな六角形を描いています。
私が行ったときは水分が乾ききっておらず、ちょっと溝が浅かったのですが。
自然って不思議ね。
それを意識してかウユニの町の石畳も六角形。
ポトシ Potosi
最後に一行がたどり着くのが、「人を食う山」として恐れられたセロ・リコ銀山。
スペインによる統治時代にスペイン人によって発見され、先住民族のケチュア族が奴隷労働を強いられた場所。
この山の鉱物資源はほぼ枯渇していると言われていますが、今でも多くの鉱夫が手作業による採掘を行っています。
この山のあるポトシという街は、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
ポトシの街からセロ・リコに向かう途中の道。MVでもこんな感じのところを歩いています。
ボリビアには野犬がたくさんいますが、チャウチャウはいませんでした…
作業着の鉱夫たちは「セメント男」さながら。
これが坑道への入口。犬をつないで中に入っていく穴が、まさにこんな感じでした。
左の太いチューブは空気を中に送るためのもの。MVにもしっかり映っています。
そしてクライマックス、仲間と別れた少年が対峙するのは、禍々しい表情の石像。
悪魔であり銀山の守り神でもある『エル・ティオ』です。
元となった存在は、ボリビアの伝承に登場する悪魔。
村を破壊するのみならず、その声を聞いた者は命を落とすと言われていました。
これに主人公の少年(聾であり人を癒す歌声をもつ)が歌いかけます。
やがて悪魔は鎮まり、少年は民に平和をもたらす…というのがボリビアに語り継がれる物語。
<子どもみたいに耳を塞いで あんたの言葉が聞こえないように ラララと歌うのさ>
という歌詞にこの伝承を重ね、『オズ』風に仕立てるという制作陣の発想に鳥肌…ただただ脱帽です。
ドロシーは仲間と別れてカンザスシティに帰ります。少年の行くべき所は『ティオ』のもと、そこで使命を果たすという定めだったのでしょうか。
なおセロ・リコに祀られる『ティオ』像の謂れには諸説あります。
過酷な労働を強いるスペイン人を悪魔に見立てたものだとか、スペインとケチュアの文化が混ざる過程で悪魔が守り神になった…などなど。
私が見た『ティオ』はMVのものと形が異なるので、中に何体もあるのだと思われます。
セロ・リコについてはこの記事で詳しくご紹介しています。
セロ・リコ ~ 負の世界遺産で命がけの銀山ツアー【ボリビア多民族国・ポトシ】
旅程決め・大まかな予算
MVのメイキングを見ると、ラパス→ウユニ→ポトシとストーリーの順に撮影されたようです。
が、私は都合によりポトシ→ウユニ→ラパスと完全逆まわり。
以下、参考までに旅程と金額をざっくり記しておきます。
<羽田・ラパス間>
LATAM航空利用で往復19万円。ゴールデンウィークにしては金額を抑えられましたが、トランジットが長かったです…
<一日目>
ラパス→スクレ(ボリビアーナ航空 40分 1万円)
スクレ→ポトシ(バス 3時間半 300円)
ポトシ泊 2,000円
当初ラパスからポトシまで国内線で飛ぶつもりでしたが、ポトシ、特にセロ・リコの標高は4,600メートル。
いきなり行くと高山病のおそれが高まるため、まずは身体を高地に慣らすことを優先。
比較的低地にある首都スクレを経由し、バスでゆっくりポトシに向かいました。
<二日目>
セロ・リコ見学(ツアー代金 2,400円)
ポトシ→ウユニ(バス 4時間 500円)
ウユニ泊 1,600円
ポトシ・ウユニ間は頻繁にバスが運行しています。
<三日目>
ウユニ塩湖見学(ツアー代金 3,200円)
ウユニ→ラパス(アマゾナス航空 40分 1万円)
ラパス泊 1,200円
<四日目>
ラパス見学。
ロープウェイ 50円×4回乗車で200円。
ラパス泊 1,200円
<総額>
タクシーも何度か乗りました。
全て交渉制ですが、10分ほどの距離で300円いくかどうかです。ラパスの空港・市内間が最も高く、片道1,000円と決められていました。
加えて、高山病予防薬のダイアモックスを事前に日本で処方してもらい、これが5,400円。
トータル23万円弱でした。
<メモ>
・ラパス・ポトシ間、ラパス・ウユニ間もバス移動が一般的ですが、夜行で半日の距離です。
私のように時間も体力もない方には、1時間未満で移動できる飛行機がおすすめ。インターネットで簡単に照会できます。
ただし、国内線は外国人観光客しか相手にしていないようで、短距離でも片道1万円前後かかります。
・宿は全てB&Bの個室(専用バスルーム付)でした。
それなりのホテルなら一泊1万円超、ドミトリーなら500円前後と振れ幅が大きいです。
治安情報
ラパスは外務省の危険情報で危険レベル1(十分注意してください)となっています。
標高が上がるほど治安が悪化すると言われていますが、このMVのロケ地に関しては比較的安全な場所。
特に新市街オブラヘスには銀行や大使館も多く、スーツ姿の人も多く見られました。
むしろ何の変哲もない場所の写真を撮りまくっている私が一番の不審者。ボリビア人たちのいぶかしげな視線がつらかったです。
ただし、特にラパス旧市街では夜の一人歩きは控えた方がいいようです。
以前はポトシもラパス同様レベル1でした。が、治安の改善を理由に2018年10月に解除されています。
ウユニは一大観光地のため特段の心配はありません(もちろん最小限の注意は必要ですが)。
おわりに
以上、完全に自己満足な報告ブログでした。
パッと見 不気味なMVですが、幾重にも意味が込められた映像作品だということが分かります。
このように酔狂なボリビア旅をする人はいらっしゃらないかもしれませんが(笑)何かの参考になれば幸いです。
MVメイキング映像。
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おしまい