こんにちは、DEKAEです。
もともと廃墟の写真や探検映像を見るのは非常に好きだったんですが、初めて実際に廃墟っぽい場所(?)を訪れて以来、自分で巡るという楽しみにも目覚めてしまい…
後日「関東 廃墟」で検索してみたら、思いのほか近場にも多くの廃墟が存在することが判明。
中でもアクセスしやすそうだったのが、都心から2時間で行ける奥多摩。以前から訪ねてみたい場所だったこともあり、避暑がてら出かけてみることにしました。
旅の同行者は廃墟友達(?)のスペイン人です。
奥多摩へ
今回の拠点はJR新宿駅。中央線で青梅駅に向かい、さらに青梅線に乗り換えて奥多摩駅方面へ向かいます。
乗り換え時間にもよりますが、所要時間は新宿から2時間前後。JRだけで行けてしまうので楽ですね~。
今回の冒険は終点奥多摩駅の2駅手前、鳩ノ巣駅から始まります。
鳩ノ巣渓谷の旧旅館群
鳩ノ巣駅で降りて坂を下ったところに現れるのが鳩ノ巣渓谷。
ずーっと北方には長瀞渓谷がありますが、どちらも秩父古生層を浸食してできた渓谷だそうです。
鳩ノ巣渓谷を流れる川も石灰質を含んで美しいミルキーブルーに。盛夏には川下り、秋には紅葉を楽しめるとあって人気のレジャースポットです。
さて、そんなところに廃墟があると聞いてやってきましたが…
あ、もういきなり発見。
この建物、かつては旅館だったのです。
以前はこの辺り一帯に旅館が並んでいたのですが、大半が廃業。取り壊されることもなくその姿を留め、自然との同化を待つままになっています。
かくしてここは、鳩ノ巣渓谷の廃旅館群としてマニアに知られることとなりました。
玄関には奥多摩を紹介するフリーペーパーらしきものが…しかしこれは新しいものに見えました。いたずら心で最近投入されたんじゃろうか
坂を下るとこの旅館の客室エリアも通ります。
どうやってこんな状態になったのだろう?というような打ち捨てられ方の扉です。
ひとつだけ開いた窓から、換気扇の紐が風にゆらめくのが見えて…ゴクリ。
このあたりは楓の木が多く、紅葉シーズンには異なる魅力を見せてくれそうですね。
続いての旅館がこちら。大広間に散乱したままの座布団が妙にリアルです。
ふもとにあるのが「水神の滝」。ここだけは真夏でも大変涼しく、持参したお弁当を広げている方も多く見えました。
滝の向かいにある謎スポットです。「女湯」とあるけれど、湯は何処へ。
川沿いに立ち並ぶ廃旅館たちに挟まれながら橋をわたりましょう。なんかゾワゾワする
これらの建物は当然のように立ち入り禁止です。監視カメラも付いているようなので、くれぐれも妙な気を起こさないように!
階段に積もった落ち葉から、きちんと立ち入り禁止が守られていることが伺えますね。
しかし、なぜこれほどの数の旅館が廃業したのかは謎です。近隣に何軒かは営業中の旅館があるので、規制や立ち退きの類ではないと思われますが…
まぁ取り壊すでもなく放置されているので、やはり経営難が理由でしょうか。昔は今みたいに電車が便利でなく、ここに滞在する人も多かったのかもしれませんね。
アクセスはとっても簡単。
鳩ノ巣駅を出たら「双竜の滝」を目指しましょう。そこから「水神の滝」に向かっていくと、自動的に廃墟群の間を歩くことになります。
マニアでなくても必ず目に入るという、特に珍しくもないスポットでした。笑
ところで、今回は訪れていませんが鳩ノ巣駅の反対側にも廃墟があります。
「峰集落跡」という廃村です。
この集落にはかつて林業を生業とする人々が住んでいましたが、産業構造の変化とともに衰退。1972年に最後の住人が「下山」して廃村になったとされています。
民俗学者・柳田國男先生が若き日に滞在し、狩猟体験をしたという逸話も残る興味深い場所。
これの存在を同行者に教えたところ「ぜひ行きましょう!」と張り切ってしまいました。
ただ、峰集落跡に行くためにはガチ登山になるんですよね。未舗装のため登山靴が必要ですし、熊よけの鈴も無いと危険。
2人ともばっちり軽装だったので「今日は行けないよ」と伝えると「じゃあなんで言うんですか?」と若干キレられました。すいません…
みとうさんぐち駅
お次は「わざわざ行かなければたどり着けない」、ややハードルの高い廃墟です。
時は高度経済成長真っ只中の1962年、奥多摩湖に湖上遊覧のためのロープウェイが開通しました。
しかし、いくつかの橋が完成すると利用者は急減。わずか4年後の1966年には事実上その役目を終え、廃線となります。
拠点となる駅と車体はそのまま撤去されることなく同地に残り、廃墟としてマニアが訪れる場所になりました。
こちらは電車とバスを乗り継いで奥多摩湖に向かい、さらに湖の中部にまで足を延ばさねばなりません。
とはいえ自家用車で簡単にアクセスできますし、バスでもアクセス可能。我々はバスで訪れました。
で、ここに書いておいてアレですが…こちらは観光地ではなく、立ち入りが推奨されているわけでもありません。
「立ち入り禁止」とまではなっていないにせよ、訪れる際は気に留めておいてくださいね。
この不思議な階段が入口です。わりと通る人が多いために道ができていますが、植物が多い茂っているのでちゃんとした靴と長ズボンがおすすめです。
少し登ると不気味な建物の姿が――
奥多摩湖ロープウェイ「みとうさんぐち駅」の駅舎跡です。
うっそうとした木立にの奥に佇む姿はザ・廃墟。地面には割れたガラスなどが散乱しているため、足元に十分ご注意ください。
多分、奥のカウンターで券を売ってたんだろうな~
ロープウェイへの乗り口に向かう階段。
陽光がなんともいい具合に射すんですねぇ…滅びゆくものの美を感じます。
そしてロープウェイ乗り場では、二度と動くことのない車体が静かに乗客を待ち続けています。
ああ、素晴らしく美しい…
山の中腹に建てられた駅舎。いつかはこの車両とともに伸びゆく木々にすべて飲み込まれるんだろう、と考えると感慨深いものが。
実際に見てみると「怖い」というよりもトトロ的な神秘性を感じます。
私はもともと大自然を見てもあまり感動しない性質で、むしろその中でものすごい労力とともに生活する人々の暮らしに感銘を受けます。
鉱山とか、岩陰に無理やり作った家とか、棚田とか…ある意味では、自然に人が手を加えたものに惹かれるともいえるわけですね。
廃墟は逆に、そうやって人が干渉した場所を再び自然が征服しているように見えます。そんな緊張感がマニア心をくすぐるのかもしれません。
機械室も覗けるようになっています。
全体的にあまり趣味のよろしくないグラフィティであふれています…
この荒れ様を見ると、鳩ノ巣の廃旅館群はずいぶんクリーンに保たれてますね~!人通りが多いからかなぁ?
イギリスから落書きしに来たっぽいですね(本当かよ)
バスでアクセスする場合は、奥多摩駅から西東京バスの奥9系統(鴨沢西行)または奥10系統(丹波行)に乗ります。
30分ほど乗車し、「深山橋」バス停で下車。深山橋と三頭橋を渡ると右手に階段が現れます。
バスは1時間に2~3本しかないため、事前に帰りの時刻表を確認しておくといいでしょう。
1日数本だけ走る奥12系統(小菅の湯行)に乗れたら、深山橋を渡ったところの「陣屋」バス停まで行かれるのでちょっとラッキーです。
道中は奥多摩湖沿いを走る優雅なドライブ…かと思いきや、けっこうな山道でなかなかヘビー。酔いやすい方は要注意です(笑)
自家用車利用の際はナビ「川野駐車場」と入力し、こちらに車を停めると便利です。ここから三頭橋方面にちょっとだけ歩くと、左手に階段があります。
写真のとおり、川野駐車場にはロープウェイの架線の名残がしっかり残っていますよ。
おわりに
多くの人が訪れる奥多摩エリアに渋い廃墟が点在しているとは…またひとつ東京の奥深さを知りました。
これらは地図アプリで検索できますし、情報も多い初心者向けのスポットです。廃墟巡りデビューにおすすめの場所といえるでしょう。
ただし散策は自己責任で、ケガのないよう気をつけてくださいね。
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おしまい