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由比ガ浜の名物ドイツ料理店シー・キャッスルにて【鎌倉】

※このお店は2022年11月に惜しまれつつ閉店しました。以下は古い情報ですのでご注意ください。

グリュスゴット(こんにちは)、DEKAEです。

ある井戸端会議(?)の席上で、知人の一人に「何十年も前、鎌倉のドイツ料理店に毎年行っていた」という話を聞きました。

「ドイツ人の三兄弟がやっている本格的なお店なんだけど、おかみさんに必ず叱られるの。でもそれがクセになっちゃうのよね~」

と、話を聞くだけでそわそわするお店。

調べてみたら、なんと今でもあるというではありませんか!居てもたっても居られず、一人で潜入してしまいました。

由比ガ浜/シー・キャッスル Sea Castle

概要

由比ヶ浜を臨む不思議な形の一軒家。ここが件のドイツ料理店シー・キャッスルです。

創業はなんと1957年!およそ65年も続く老舗中の老舗でした。「何十年も前」に通っていたという知人の言葉は間違いではなかったのですね。

激動の昭和32年…当時ドイツ料理というのは珍しかったのではないでしょうか。三兄弟がなぜ連れ立って日本にやって来ようと思ったのかも謎です。

北鎌倉駅から歩き、想像以上に距離があるもんで失敗した…と思いながらお店に到着したら「Close」の看板がかかっていて硬直。

営業時間を見てみたら12時開店なんですね…あわや倒れるところでした←

ま、由比ヶ浜をブラブラして待てるので早めに着いても全然退屈しません。

さて、知人いわく「おかみさんに必ず叱られる」というこのお店。

実際に体験してみてよく分かりましたが、もてなされようなんて百年早い!神様なんざ一昨日来やがれスタイルです。

それを念頭に置いて入らないとハイパー面食らうこと間違いなしなので、ご注意ください。

同行者も海外の接客に慣れた人か、冗談が通じる相手に限りましょう。笑

ともかく、各種口コミサイトで「とりあえずお店に入るときは『こんにちは』と言わないと叱られる」という事前情報を得ていた私。

あいさつは合格し、無事席に通されました。

ちなみに、後から来るお客さんたちも一様に「こんにちは」と声高くあいさつするのが面白くて面白くて←

常連さんではなさそうだったし、皆さん同じ口コミを読んだかな?笑

おかみさんは叱ると言っても、ちゃんとあいさつをしないとか食べ残しをするとか、そこには真っ当な理由があるようです。

知人が通っていたときからそうだったとのことなので、もはやそれが個性になってるんでしょうね。

写真だと見えませんが、窓からは由比ヶ浜が。さすが「海の城」です。

賑やかな内装がドイツの田舎食堂って感じでキュンです。BGMがレトロで陽気なポルカなのもまた一興。

一番奥は予約した方の特等席です。営業しているかの確認も含め、事前に電話で予約しておくといいでしょう。

訪れた日にお店にいたのはおかみさん、そしておじいさんの二人でした。

おいくつなのか分かりませんが、お二人とも腰が曲がってゆ~っくり歩くほどには年配者。

おかみさんは日本語がペラペラ…とかいうレベルではなく、喋り方が湘南のおばちゃんそのものです。

逆にドイツ語忘れちゃってんじゃないの…などと心配しましたが、お店の人同士で話しているときはドイツ語だったので杞憂でしたね←

おじいさんが歩く途中に何かにつまづいた際には、ドイツ語で鋭く悪態をついた後「なんでこんなとこに…ブツブツ」と日本語で文句を言っていたのがツボ。

ランチ

お邪魔したのは平日のランチです。

平日と休日で特にメニューの差はないみたい。グランドメニューを渡されたので、おそらく夜も同じメニューと思われます。

さすがドイツ、ポークやビーフなど肉肉しいものが並びます。ポークリブやアイスバインは事前に予約しておかないと用意してないみたいですね。

今回はポットローストビーフのコース(税込み2,860円)にしました。

ポットローストとは塊肉をハーブやワインとともに鍋に入れ、じっくり煮込む料理のようです。

オーストリア名物の「ターフェルシュピッツ」はまさにこれにあたると思われます

ウィーンの老舗プラフッタで楽しむターフェルシュピッツ【オーストリア】

単品だと1,540円ですが、コースにするとスープ・サラダ・パン・食後のコーヒーが付きます。

ご年配の西洋人が営むだけあり提供はかなりゆっくりなので、時間に余裕がない場合は単品がおすすめ。

まずはトマトのスープ。「少し跳ねちゃってごめんなさいね」ときちんとお詫びしてくれましたが、全然気になりませ~ん

残りは一気に提供。

最初左上の物体が何か分からず「これは何ですか?」と聞いたら、おばあさんが「何に見える?」と…

「パンですか?」と聞いたら「そうよ。ご飯には見えないでしょう?」と返されました。ジョークのつもりじゃなかったんですけどw

薄~い黒パンですが、クルミ?がたっぷり練り込まれています。お手製感があって良き。

ザワークラウトは牛肉と一緒に。マッシュポテトは肉汁と絡めて食べてねとのことでした。

マッシュポテトってどうしてこんなに美味しいんでしょうかっ。牛肉の旨みを余すところなく吸収して、満足感も上々です。

しかし思いのほかビーフが小さく…ぶっちゃけお腹いっぱいにならない←

デザートのアップルパイでもいただこうと思ったのですが、「今日はケーキが全然できてないの、ごめんね」とのことだったので次回のお楽しみかなぁ。

そういえばこちらのお店、以前に孤独のグルメで登場したこともあるそうですね。

五郎さんはサバのお料理を頼んだようですが、そちらは見つかりませんでした。

なお、昼からドイツビール飲めます。「飲みたかったら冷蔵庫から取って」スタイルのようですがw

ワインは置いてないそうです。

シー・キャッスル → 食べログ

営業時間は12:00~21:00となってますが、途中休憩を挟むようなので食事時からずれる場合は電話したほうがいいでしょう。水曜定休です。

おやつ時に開いていたらお茶だけ利用もOK。

歩いていく場合、江ノ島電鉄の長谷駅か由比ヶ浜駅から歩いて5分強です。

おわりに

鎌倉の地で60余年も続いてきたドイツレストランですが、いつまで続けるつもりなのかは何ともいえません。

ご兄弟の親戚も日本にいるようですが、なんとなくこのお店を継ぐって感じではなさそう。

オーナーたちが元気なうちにぜひ通っておきたいな~と思うお店です。

※2023年1月23日追記

2022年11月27日、シー・キャッスルは長い歴史に幕を閉じました。懸案の通り、お店の皆さんの体力が理由とのこと。

名物レストランの灯りが消えるのは寂しいことですが、お店の皆さんがゆったりお元気に過ごされることを願っています。

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おしまい